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仏壇物語
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03 鈴の音が気に入らない・買い換えた
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仏壇には必須の鈴。
リンと呼ぶそうだが、線香や供物を上げる度に叩くもの。
お知らせをするのでしょうか、ね。
お寺には、宗派によって違うようだが、大きな木魚と鈴が備えてあったりする。
お経を読みながら叩いているのを見ていた。
母が逝って、長い間仕舞ったままの仏壇をとりだしたのは良いけれど、仏具が花立くらいしかない。
葬儀は母が若い時に入っていた互助会で行ったので、仏具一式も整えてくれている。
何処の葬儀社でも、きちんと一式整えて持ってくるものなのか。
全てが済んだとき、折りたたみ式の白木の台も置いていったから、全部含まれた価格のようだ。
花立は50年前の古いものにして、線香立てと線香入れ、ろうそく立て、鈴はありがたく使わせてもらうことに…。
仏壇が小さいので、ちょうど良い大きさだったが、大きい仏壇のお宅には、間に合わせの仏具は小さすぎて合わないのだろう。
青磁色の小さな線香立ても、濃い銅色の小さな線香入れとろうそく立ても、問題なく収まったのに、鈴の音が気に入らない。
「チーン」と言う音に、深みがない。
ジャックの実家の鈴は、もっと良い音がしたように思う。
毎朝、お茶とお水をあげるとき、鳴らす度に気になって、叩き方もいろいろ工夫してみたが、鈴自体の問題だと思い至った。
ジャックの地元の幼友達に、仏具屋さんがいるので、ついでのときに買い替えを頼んだ。
「音をよく聞いて、いい音のものを選んできて」と言われたジャック。
その通りに伝えるべく、「小さいものは音も深くはない」という当然のことを言いながら出かけた。
なんでも良いから、今の鈴よりは音の良いものを、と送り出して半日。
買ってきてくれた鈴の音は、とても澄んだ良い音。
毎朝、明るくなるような音で、ジャックにも仏具屋の友人にも感謝したい気分。
笑う人もいるかも知れないけれど、朝の鈴の音は、気持ちよく響いてほしいもの。
ユフィはこの鈴の叩き方が下手で、しっかり叩けたことが少なかった。
鈴の縁を叩くのだが、なにしろ小さいので、ふちに上手く当たらないときがある。上からガツンと叩き下ろしは、なんだか違うと思うし…。
試行錯誤、毎朝「叩けた、良い音」と思えう日と、「しまった、かすった」と言う日といろいろ。
で、ある日、テレビの場面で鈴を叩くのを見て、「なぁーんだ」と納得。
横に水平に叩くのではなく、斜め上から縁を叩けばよいことに、なんとまあ、2年以上経って気が付いたというお粗末。
小さな頃から鈴を叩いていたジャックには、話せない恥ずかしい話。
オマケの話を一つ。
ジャックの実家に行ったとき、仏壇にお土産を置いて、線香を上げ、鈴を叩いたとたん「あ、ビックリした」と義姉。
ものすごく良い音が「チーーン」と響き渡ったのだ。
どうやら強く叩きすぎたみたい。
「うわぁ、すごい良い音」と照れ隠しのユフィ。
本当に澄んだ綺麗な音で、「昔のものはやはり違う」と感心したことを覚えている。 |
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