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歌舞伎座 鳳凰祭三月大歌舞伎を観劇

ご招待券のおこぼれに大騒ぎ

近年の観劇は、旧歌舞伎座の最後の「一幕見」でのこと。
渋るサーヤを説き伏せて、ユフィも初の一幕見を経験した。
銀座四丁目の「銀の葡萄ティールーム」でのお茶が、サーヤの餌になったのが懐かしい。

歌舞伎の世界では、新歌舞伎座建設中に「中村勘三郎」「市川団十郎」という名役者を失うという出来事があったけれど、つつがなく杮落としは行われている。
今回の案内にも『歌舞伎座新開場杮落』と書かれている。
一年間は『杮落・こけらおとし』と呼ぶのかな?

ついでに歌舞伎座を松竹が経営しての百周年だそうだ。
そりゃ、力が入るよね、きっと。
初日で日曜日だからか、ものすごく混んでいて、少しもゆっくりはできなかったし…。

「一幕見」は安かったし、見たいものだけ見て『ケーキとお茶』が楽しみだったから、サーヤの印象は?
新歌舞伎には興味はあっても、なにしろ切符を取るのが大変そうなのと、高価なのが難点。
行く気はあっても、行動にはなかなか移せなかったのが実情だ。

ある日パソコンでパート中に、電話が鳴った。
0120局番や無表示には出ないユフィも、携帯番号が表示されている宅配が多いので、渋々出なくてはならない。
聞こえてきたのは、とても懐かしい人の名乗る声

ジャックが昔、お世話したことのある仕事関係の人。
「歌舞伎座の招待券が余っているのですが、ご興味はありますか」とのこと。
「あります、あります。建て替え前に一幕見に行ったくらい」と返事、ジャックは興味ないかもしれないけれどサーヤは興味はある、と返事した。

「お嬢さんとお出掛けなら、日曜日が良いですね」ということで、3月2日の「初日の切符」が書留で届いた
案内状切符

帰宅したジャックに報告、「このチャンスを逃すと一生行けないかも…」とのことで、渋るサーヤを説き伏せて行くことに。
サーヤが渋ったのは「腰痛がひどくて何時間も座れないから」との理由。

新歌舞伎座開場の際に、ニュースで流れていた「字幕ガイド」が座席に付けられるのには興味を持っていたから、説き伏せての観劇になる。

早速色々とリサーチして、「字幕ガイド」の申し込み書はコピーして書き込みは済ませ、予約の食事は慌しいのでお弁当を座席で食べることにし、ジャックが当日仕事が休みなので昼・夕食の準備を整える。
ここまででかなり疲れたけれど、ともかく寒い小雨の中を1時間ほど早く着くように出る。
新歌舞伎座

夜の部、4時30分開演なのに、昼の部が終了していなかったから、地下2階の木挽町広場でお弁当を買ったり、屋上庭園を見たり、喫茶室でケーキでお茶したりの時間つぶし。
屋上庭園

「字幕ガイド」を借りて席に着くが、この機器を前の席の背に取り付ける方法が分らない。
手洗いに行ってきたサーヤが、無言でパチンと磁石でつけたのを見て、「なるほど」と納得する。
黒地に白文字ではっきりと見えるし、背景説明なども選べるので台詞以外の長唄場面などもわかり易いかも…。

あまり借りている人はいなかったようだけど…。
珍しそうに近くの人に見られたりして、「歌舞伎慣れしてない」のは一目瞭然だった。
字幕ガイド字幕ガイド

さて、演目は『加賀鳶・かがとび』四幕六場、『勧進帳』『日本振袖始 大蛇退治』の三本。
威勢の良い『加賀鳶』は「盲長屋梅加賀鳶」という脇題がついていて、威勢の良いのは「勢揃いの場」だけ。
ゆすりたかりの悪按摩の話で、なんだか暗い話だったので、イメージが違ってしまった。

歌舞伎十八番『勧進帳・かんじんちょう』は、流石に見応えのあるもので、翌日の新聞の芸能欄にも掲載されていた。
ユフィはテレビなどで「勧進帳を読みあげる部分」は良く知ってはいたけれど、関所を無事に通った後の話は始めて
「えっ、勧進帳って舞踊劇だったんだ」とびっくりしたというお粗末。
表の看板

主人公の弁慶が、山伏姿で舞うとは思いもしなかったから…。
流石に舞は見事なもので、義経役の殆ど動かない見せ場のないのとは反対に、台詞は多く動きも多く、勧められての酒の飲み方、最後に無事に通れたことへの想いを舞いに託す場は、吉右衛門ならではの演技で堪能できた。

しどころの無い義経役は、普通は若手が演じるのだが、今回は杮落としの興行のためか、籐十郎が勤めていた。
御歳八十歳超えの義経役、ずっと座ったままで大変だったろうと同情してしまう。
宝塚の春日野八千代が八十代で踊ったときも、ヒヤヒヤしたものだったけれど、『一幕見の藤娘の人』でサーヤ納得。

翌日の新聞に、『69歳の吉右衛門 弁慶 100歳まで』と言う見出し。
祖父・七代目松本幸四郎や父の「弁慶」はかっこよかったと語っている。
様々な「弁慶」の演出もあるが、祖父の「力強く動きの激しい弁慶が最高」と、祖父の形に近づけたらしい。
新聞紙面

最後の『日本振袖始』は、近松門左衛門の作と言うのだが、あまり見聞きしたことはない。
神話の世界の「八岐大蛇・やまたのおろち」八つの頭を持つ大蛇と、スサノオノミコト、イナダヒメの話を歌舞伎に置き換えた話。
「神話をもとにした重厚な舞踊劇」とのことで、サーヤ共々とても楽しめた。
日本振袖始の絵画看板

流石に「坂東玉三郎」の名は知っているらしいので、楽しめたのかも知れない。
当代一の舞踊の名手は、化身の女性では怪しく美しく、好物の酒を八壷も飲みほす様子も徐々に変化が見える。
蛇身になってからは、力強く大きく妖怪の雰囲気がたっぷりで、流石の演技力。
七人の蛇の精が同じ扮装で付いて周るのが、面白い工夫で楽しかった。

八つの蛇の頭を表していて、連なったり分かれたり、勘九郎のスサノオと入り乱れての乱闘もめまぐるしく楽しめる。
題の「振袖始」は、イナダ姫がスサノオから預かった太刀を袖に隠すことから、と説明されている。
分ったような分らないような、でも、「楽しめたからいいかな」の気分だった。

この「日本振袖始」は、1700年代初期の作品で、近年は上演回数も少ないもののよう。
歌舞伎通の方でも良く知らないらしいが、とても変わった演出と舞踊なので、老若男女、国を問わずに楽しめると思った。
一見の価値ありの演目だと思う。

以下は2階席からの様子を3枚。
舞台の縞幕富士山の幕2階ロビー


歌舞伎座の記事はこちらにも書いています。
 歌舞伎座 鳳凰祭四月大歌舞伎を観劇
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