ジャックの記事
連載
01 陶器のある散歩道 絞り染めのある旧東海道 常滑から有松まで
02 一番早い春 指宿の菜の花
03 水の都の本場は 松江だ 夏でも冬でも水は心だ
04 宇和島へ みかんを味に行く
05 春はタンゴに乗って 北近畿たんご鉄道
06 雪の壁を見に行く 立山・黒部 アルペンルート プラス さくらえびとほたるいか
07 花燃ゆ 萩の町 または夏みかんの里
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日本感覚旅行
07 花燃ゆ 萩の町 または夏みかんの里
山陰の小京都
といわれる、
津和野
と
萩
。全国の小京都の人気度でも常に上位にランクされる町です。けれども、双方を歩いてみると、いささかイメージは違っています。文字通り「小京都」的で、町筋の小川に群れ遊ぶ鯉のイメージのある、小じんまりとした山峡の津和野は「少少京都」。海沿いの町であり、松本川と橋本川という二つの川を抱かれた、ゆったり静かな町並みの萩との印象の違いかもしれません。
訪れた町の印象は、その季節や天候でいつまでも自分にとっての町の姿になって残っているものです。私が初めて萩町を訪れたのは
「夏みかんのお菓子」
の取材の時。初夏の萩は高い建物も無く、けっこう強い陽射しのなか歩いていて、木陰があると振り仰いで見ると、夏みかんの大きな樹が私を覆っている、という印象でした。
●古い土塀に小高い夏みかんの樹。振り仰ぐと、まだ青い実がたくさん。
で、早速夏みかんの話から。夏みかんは、その色から橙々(だいだい)菓子とよばれ、まだ実がなっている内に次の実が結ぶところから、代々(だいだい)受け継いでいく縁起もののお菓子として好まれ、育てられてきました。夏みかんの菓子といえば、一般にはジャムのマーマレードかあるかもしれません。甘さの中に、ちょっと苦味のある皮が残っていて、微妙なコントラストが風味をもたらしますよね。
この夏みかんを地元の特産のお菓子にして代々受け継いでいるのが
『光國本店』
。お菓子のいろいろはネットに詳しいのでここでは省略、どうぞ想像たくましく、閲覧してください。
さて、萩町の印象にもどります。津和野の町との違いについてちょっと触れましたが、萩は歴史の町、城下町といった印象のほうが強いかもしれません。実際には城は無く、城址が残るだけです。現在は指月公園と名づけられています。しかし、城下町の造りがそのまま残っているので、そのイメージが強いのかもしれません。観光の中心となっているのが「萩城城下町」と名づけられた一帯。普通の家と史跡となっている家が混在しているので、うっかりすると、見知らぬ家の軒先に入っていってしまいそう、明治維新で活躍する木戸孝允や高杉晋作といったおなじみの人々の旧宅なども多い通りです。
●萩城址(指月公園)。右下は場内にある茶室。
●市内にある維新の人々の邸宅跡。
松蔭神社には、維新の志士たちを生んだ吉田松陰の松下村塾の建物が保存されています。
久坂玄端、伊藤博文、山県有朋、品川弥二郎
らといった人々が育って行ったあとです。
●松蔭神社内、松下村塾跡、と松蔭神社。
●市内、萩焼の店。
東京の世田谷区には
「松蔭神社」
があり、ここには吉田松陰が祀られています。ところが、同じ世田谷区には
「豪徳寺」
があり、ここには、かの松蔭の処罰に関わった井伊直弼が祀られています。同じ世田谷区、場所もそう離れていないところに、歴史上の対立した二人の墓があるのも、何かの因縁なのかもしれません。
余談ですが、この
豪徳寺、招き猫の発祥
として知られています。その当時、廃屋に近かった寺で迷い猫を飼っていたのですが、ある日、井伊直弼が狩の途中急な雨に会い困っていたところ、寺の前に猫がいて“こちらへ”というように手を上げているの見て、寺に一時の休憩ができて感謝し、その後井伊家の菩提寺となってから豪徳寺も寺としての風格も備えていった、という逸話があるのです。境内には店で繁盛したお礼に、使った招き猫を祀った場所があり、全国から沢山の招き猫が備えられています。また、豪徳寺の商店街には、店ごとにウインドウに招き猫が飾られています。
招き猫については、当サイト
「リビング 置物」の『
ホワイトデーも合格祝いも 招き猫
』
にも詳しいのでそちらもどうぞ。
今年のNHK大河ドラマはこの萩の町が舞台となっています。萩と津和野と、二つの小京都を一日で回るのは、足便を考えるとちょっと無理かも。一泊挟んで津和野から萩、そして「秋芳洞」へ回るか、あるいは逆に萩から津和野へ、そして時刻確認のうえ、「SL山口号」に乗って山口に向かうのがコースといえましょうか。
●津和野、町には掘割の小川、錦鯉が群れている。私が引き付けられる、地酒の店。
●SL山口号。私が行った時とは車種がちがうけれど。
●秋芳洞の入り口。
今年の大河ドラマは維新の志士たちが、いわば幕府に「盾つく」話。来年の話すると「鬼も泣く」時期かもしれませんが、来年の大河ドラマは、三谷幸喜脚本の「真田丸」。こちらは時代を遡って徳川の時代がやってくるときに「盾ついた」真田十勇士の物語のようです。昨年から、上川隆也主演の「真田十勇士」が舞台上演されて人気が出ているようです。私の若かりし頃は、福田善之脚本の「真田風雲録」が舞台化されています。時の政治に怒れる若者を描いた芝居。現在も現役女優・私の大好きな渡部美佐子さんが、黒い網タイツ姿で登場したのが忘れられません。
あれ、話がどこかいっちゃいましたが、だとすると、来年の舞台は信州・上田か。先取りして、今年の秋は信州が熱くなるかもしれません。
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