やましたさんちの玉手箱
ジャックの記事
連載
01 陶器のある散歩道 絞り染めのある旧東海道 常滑から有松まで
02 一番早い春 指宿の菜の花
03  水の都の本場は 松江だ 夏でも冬でも水は心だ
04 宇和島へ みかんを味に行く
05 春はタンゴに乗って 北近畿たんご鉄道
06 雪の壁を見に行く 立山・黒部 アルペンルート プラス さくらえびとほたるいか
07 花燃ゆ 萩の町 または夏みかんの里
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日本感覚旅行

03  水の都の本場は 松江だ 夏でも冬でも水は心だ

 海に囲まれ、河川の多い日本には、『水の都』と言われるところがたくさんあります。思いつくまま、小樽運河、水郷といわれる潮来、東京も隅田川の水上バス、神田川めぐり、芭蕉の句碑のある大垣、八百八橋の大阪、福岡柳川などなど。そして、海と湖と川に接することができる島根県松江市は、正しく水の都にふさわしいところです。

 まずは汽水湖として有名な宍道湖。昔から『宍道湖七珍』(しんじこしっちん)といわれる魚介がゆうめいです。白魚、アマサギ(わかさぎ)、鱸(すずき)、鯉、もろけ海老、しじみ、うなぎの七つ。そして、松江の風物ともいわれるのが宍道湖のしじみ漁です。夜明けとともに小船がいっせいに繰り出します。
 長い棹の先に鋤簾という、鍬のような籠で湖水をさらいます。ゆらゆらと、鋤簾を引く姿を見ていると、こちらの身体もつられて揺れていくよう。松江に泊まったら、宿で明日のしじみ漁があるのか確かめて、是非早起きをしてください。
松江しじみ漁

 朝の風物詩がしじみ漁なら、夕刻の風物は夕日です。「夕日公園」というバス停のある島根県立美術館は広いエントランスから絶好の夕日が見られるところ。もちろん、夕日だけがウリじゃないのはいうまでもありません。
松江夕日 松江地蔵と夕日 

 松江城を囲んだ堀が美しいのも松江のみどころです。『ぐるっと松江堀川めぐり』では、屋形船で堀川を一巡します。屋根があるので雨の日の風情もあり、冬場はこたつが登場しますので、熱燗もまた楽し。船から見上げる松江城や、武家屋敷などもみごとです。
 この堀川めぐりで感心したのは、船が通る一般の住宅にあります。庭にある置物などが掘りに向かって並べられていることです。子供さんがいると思われる庭には、白雪姫と小人たちが、お宅の居間にむかっているのではなく、堀川に向けられているのですね。
屋形船と青
堀川をめぐっていると青さぎに出会うことも多い

松江堀川めぐりの松江堀川めぐり

屋形船市内旧日本銀行前武家屋敷
日本銀行旧松江支店 現在は「からころ工房」という集合店舗になっている。右は武家屋敷

 松江の楽しみももう一つは和菓子。石川県の金沢と並んで和菓子の消費量が全国的に高いところです。松江藩の七代藩主・いわゆる不味公(ふまいこう)があらわした茶の菓子として伝統を受け継いだもの。お使い物、というより、日常で楽しむという気軽なお菓子として人気があります。市内にはたくさんの菓子店がありますが、有名なのは『彩雲堂』。

 若い人たちにはケーキ類も紹介しなければなりません。ケーキとコーヒーの店として人気なのが『クロード』。秋からの柿、栗、ぶどう、いちじくなどを扱ったフルーツ系が人気で、常時、いちご、ブルーベリー、ラズベリーといったものも老若にかかわらずこのまれているようです。
クロードの洋菓子
クロードの店
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