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ソチオリンピック/フィギュアの男子ファッション

新調する/そのまま着用/取り替える

ソチオリンピック/フィギュアスケートのライブ放送が、真夜中の12時というのはなんとも微妙な時間帯。
深夜でもないし、見る気になれば起きてもいたいような時間だが、終了時間を考えたらパスなのだ。
もしも、日本男子が失敗して沈むのを見てしまったら、とても安眠はできそうにも無いから…。

と言っても、翌日の朝のニュースで知ることにはなるのだが、嬉しいことも厭なことも先延ばしにしたい今回のフィギュア・スケート。
ソチオリンピックでは、金メダル候補は金を取れない』と言うジンクスが出ているみたい。
男子フィギュアの世界の金メダル予想は、「パトリック・チャン選手」だそうで、羽生選手は予想には無いそうだ。

そして結果は、ショートプログラムで点数100点越えの羽生結弦選手が、失敗はあったけれど金メダル獲得。
朝チラッと見たニュース画面で、「1位? 1位?」と聞きながら喜ぶ羽生選手が出ていて、「良かったね」と一安心。
その前に、大雪で電車が動くのを待っていたジャックから、「羽生さん1位になったよ」とは聞いていたが、早い時間なのでもう一眠りとベッドに入ってからは、高橋大輔選手はどうなった?で眠れなくなった

結局、羽生選手が金メダルで、町田選手が5位、高橋選手が6位という結果。
6位までに、日本選手が3人全員入ったのだから、結果は「まあ、良かった」のかもしれない。
さて、フィギュアスケートのファッションの話に入ろうと思う。

前回掲載の「2013 フィギュアスケート日本男子の衣装に思う」については、高橋選手・羽生選手・町田選手の順序だったけれど、今回は順位で行くことにする。


金メダルの羽生結弦選手は、ショート・フリーともに衣装は変えていない。
ヘアスタイルが更に短くなったかな? 
それとショートでの表情を「より男っぽくしているかな」という感じ。
「若い好青年」は、ぼかしの入ったブルーにラインストーンを散らせた何気ないシャツに、際立つ細身の長い脚を黒いパンツで抑えて、ベルトのバックルが効いている。


フィギュアスケート男子SP 羽生結弦
=13日、ロシア・ソチのアイスベルク・パレス(大里直也撮影)

また、定番になったアクセサリーのペンダントとネックレスの重ね着けが、ブルーのシャツによくマッチしている。
フリーでは、薄地の白いレースのブラウスの下に、アクセサリーは隠していたが、演技中に出てしまっている。
以前気になっていた色とりどりのラインストーンは、気にならなくなっているから不思議。
慣れてしまったということか…。


フィギュアスケート男子 FS 羽生結弦
=14日、ロシア・ソチのアイスベルク・パレス(大里直也撮影)

羽生選手で印象深かったのは、ショートプログラム終了からキスミー・アンド・クライまでに、ものすごくたくさんの礼・お辞儀を繰り返していたこと。
「ありがとうございます」の感謝の意味なのだろうか。
しかも軽い会釈ではなく、深々とした礼で、礼儀正しく育てられたのだろうな、という印象を受けた。



男子SPで演技するパトリック・チャン(ロイター)

銀メダルのカナダのパトリック・チャン選手も、衣装は変えていないと思う。
彼も「好青年」風なので、ショートプログラムのグレイのグラデーション調のシャツは、落ち着いた大人の雰囲気が感じられる。
ヘアスタイルも彼はずっとこんな感じで、あまり変化していないように思うのだが。


男子フリー 2位となったパトリック・チャンの演技=ソチ(共同)

フリープログラムの衣装は、色調はグレイと黒で抑え目ではあるが、デザインが面白い?
アンバランスな細いヘチマ衿の打ち合わせ、肩から流した黒い花のライン、袖口のボタン、派手なのか地味なのか、とまどうような印象。
彼の演技は「器械体操」と呼んだ人がいたらしいが、両手を広げる演技が多いのが特徴で、滑りはとても綺麗だが面白味には欠ける。

日本選手だと、「小塚崇彦選手」とちょっと似ているかも知れない。
彼も何を着ても何を演じても、「彼以外にはなれない」雰囲気を持っていると思うから…。
今期限りの引退を表明しているチャン選手、高橋選手と共に、静かに去っていくのだろうか。


ソチオリンピックでは、若い十代の選手の台頭が目立つのだが、銅メダルのカザフスタンのデニス・デン選手もその1人。
フィギュアスケートの皇帝・プルシェンコ、ヴェテランの高橋選手などと同様に「黒」の衣装を身につけてショートに登場。
そのフレッシュな演技は、ユフィの目を惹いていたひとりだった。


ソチ冬季五輪、フィギュアスケート男子シングル・ショートプログラム(SP)
演技に臨むデニス・テン(Denis Ten、2014年2月13日撮影)
(c)AFP/ADRIAN DENNIS

黒のノーカラーの薄手のシャツには、半身のみ銀のラインが入っていて、シンプルでとても演技が際立つ効果がある。
フリーでは、全く印象を変えてのラフな白シャツに赤のネクタイを素肌の首に結び、脇ラインの入った黒いパンツで締めている。


ソチ冬季五輪、フィギュアスケート男子シングル・フリースケーティング(FS)
演技に臨むデニス・テン(Denis Ten、2014年2月14日撮影)
(c)AFP/YURI KADOBNOV

まだ20歳らしいのに、ずいぶんこなれたファッション感覚だと思う。
本人は、まだ10代の雰囲気を残した素朴な印象なので、スタイリストの助言なのかな?



男子SP3位のフェルナンデス(AP)

4位のハビエル・フェルナンデスは、これはまたとても目立つファッションで、日本の織田選手に似た感じ。
長身だから、衣装がとても映えるところは少し違うけれど…。
黒白のストライプと黒の衣装に、黄色と赤の色違いの襟のアクセントが楽しい雰囲気で効いている。


ソチ冬季五輪、フィギュアスケート男子シングル・フリースケーティング(FS)
演技に臨むハビエル・フェルナンデス(Javier Fernandez、2014年2月14日撮影)
(c)AFP/YURI KADOBNOV

フリーは、曲名に合わせたものらしい。
体格の良い彼にしか、着ることが難しそうな大胆で面白いデザイン。
かなり迫力のある演技だったのだが、この衣装での効果もあった?


そして、ショート11位の町田選手、すごく頑張っての5位入賞。
ショート4位の高橋選手以下、11位までの点差が少なくてメダル圏内ではあったのだが…。
彼はこのオリンピックに向けて、ショート・フリー共に衣装を変えてきている。


フィギュアスケート男子SPで演技する町田樹
=13日、ロシア・ソチのアイスベルク・パレス(大里直也撮影)

まずはショートの衣装、前回の全日本選手権の際に、ユフィが「ボロクソ」に酷評したのを、まさか見てはいないと思うけど…。
白のバレエの衣装のようなブラウス風の上着が、シンプルなノーカラーシャツに変わっていたのだ。
スパンコールとラインストーンの右肩から流した飾りは、少し抑え気味の模様になっている。


ソチ五輪のフィギュアスケート団体男子フリーで演技を終え、
笑顔を見せる町田樹(ロシア・ソチ)(2014年02月09日) 【時事通信社】

そして、団体戦で着用の「火の鳥の衣装」は、大幅に変化していた。
黒に赤の「火の鳥」のイメージが上半身に押さえられていて、しかも襟元が詰まっていて男らしくスマートな印象になっている。
黒い地色も、テカッていない黒で、全体に落ち着いたものになっていた。
動く度に細かな羽が燃え上がるように舞い、少しカットされカールが掛かった茶系のヘアスタイルともマッチしている。

ショート・フリー共に一段階アップしたようなセンスで、とてもスッキリしていて気持ちよかった。
と思っていたのに、フリーでは前の「火の鳥の衣装」に戻してきていた。
団体戦の失敗で,縁起を担いだのかな? 個人的には非常に残念な思いが…。


そして、6位だった気がかりの高橋選手は、凝った印象のショートの衣装は変えていない。
「気に入った曲」が他人の作曲と話題になってしまったのだから、ダークなイメージを払拭するのなら変えても良かったかも…。
黒の素材を変えて組み合わせ、下に着けたラインストーンのシャツを少しだけ見せる凝ったデザインは、曲のイメージなのかな?


ソチ冬季五輪のフィギュアスケート男子ショートプログラム(SP)が13日行われ、
前回銅メダルの高橋大輔(関大大学院)は86.40点で4位につけた。
 写真は、フィギュアスケート男子SPで演技する高橋大輔(ロシア・ソチ)
(2014年02月13日) 【時事通信社】

大騒ぎされた割には、ショート4位は崩れ過ぎてはいないのだが、フリーで2本4回転ジャンプを回転不足で取られては、勝ち目は無かった。

まだ、脛の傷が完治していなかったのだろうか。
それでも少し笑って演技を終了させたし、他の部分では流石だったから、「世界選手権」を最後にして欲しいなとは、ユフィの希望。

現地入りしたときは、アゴヒゲをたくわえていて、そのまま出場かと思っていたのだが、剃って出てきた。
アゴヒゲでの演技も、見てみたかったような気もする。

そして、フリーの衣装はまた替えてきた。
今シリーズの初めの部分は白で始まり、全日本では紺と白の組み合わせ、ソチでは紫と白。
ユフィの前の記事では、全日本で負けながらソチ行きを決めた衣装での参加を希望していたが、全く違う衣装で登場


力強い演技をする高橋大輔(14日、ソチ)=共同

とても綺麗な紫に白を少し見せたもので、ルーズな印象の前回の紺と白のものと、雰囲気は似ている。
ラインストーンを右肩から流しているのと、下から覗く白い部分にもストーンが散っているのが、前回のデザイン主体のものとは違う点だ。

良く言えば紫にラインストーンで華やかになった分、デザイン的には面白くは無いのだが、スッキリとした感じはある。


そして、更にフィギュア・スケートの皇帝、エフゲニー・プルシェンコの衣装は「黒で統一」されていた。
団体戦での衣装と、個人戦の最初の練習中のものから…。
なにしろ、団体戦で圧倒的な演技でロシアを熱狂させて優勝に導きながら、個人戦の練習中に腰を痛めての棄権。

更に続けて、「引退」するとの発表。
4年前に「4回転をとばないフィギュアは、ただのダンスだ」と言い放った皇帝は、今回の地元のオリンピックは満足だっただろう。

なにしろ、プルシェンコの言葉に誘発されたように、今のフィギュア界は4回転ジャンプ無しには勝利できないのだから。
そのソチオリンピックでの団体優勝の金メダル獲得は、「我が意を得たり」の心境だったのかも。
個人戦でやる気満々だった皇帝は、棄権したとしても何処かしら満足気に見えたのは、ユフィだけ?

プルシェンコの演技を見ながら、「彼はスタイルが良いのかな?」とサーヤにポツリ。
なぜなら、ショート・フリー共に黒で統一し、しかも上下の繋がっている衣装なので、体形が丸見えなのだ。
筋肉質の男性らしい身体は、羽生選手などの若い人たちには無い貫禄が感じられるが、美しいとも言えない。


フィギュアスケート団体戦の男子SPで演技するエフゲニー・プルシェンコ
=6日、ロシア・ソチのアイスベルク・パレス(大里直也撮影)

斜めに肌を露出させるように見せたデザインが、若い選手なら下品にも見えたかも…。
歳相応の落ち着きで、色気はあまり感じさせないけれど、全身に散らしたラインストーンと白いアクセントが際立っていた。
フリーでは、透けた生地に大柄なレース模様を前身ごろにデザインしたブラウス風のものを着用している。


ソチ冬季五輪、フィギュアスケート団体戦、男子シングル・フリースケーティング(FS)
歓声に応えるエフゲニー・プルシェンコ(Yevgeny Plushenko、2014年2月9日撮影)
(c)AFP=時事/AFPBB News


今回のソチオリンピックでは、男女共に「黒い衣装」が多かったように感じた。
白い氷上では、黒は際立って目立つし、引き締まっても見える。
男子では、下半身は黒のパンツスタイルが多かったのも納得だ。

順位に関係なく、気になったのは若い世代の台頭だ。
今シーズン、更にソチオリンピックで、引退の選手が多いのも今回のフィギュアスケートの特徴。
何気なく観ていた演技で中で、気になった選手たちは、あまり姿を見かけない新人達。

10代の選手が、各国から続々と登場してきているのだ。
今回3位のカザフスタンのデニス・デン選手などは、その代表格かも知れない。
「あら、新しい選手。なかなか良いじゃない」と思っていたら、一夜明けて銅メダルを取っていたし…。


ソチ冬季五輪、フィギュアスケート男子シングル・フリースケーティング(FS)
演技に臨むジェイソン・ブラウン(Jason Brown、2014年2月14日撮影)
(c)AFP/YURI KADOBNOV

他にも目立ったのが、アメリカのジェイソン・ブラウン選手。
まるでスピードスケート選手というような体格と風貌で、独特の雰囲気がある。
衣装も存在感が強く、グリーンの上着に黒のパンツには、金色の派手な模様が並んでいる。
日本人には着こなしが難しい衣装かもしれない。


ソチ冬季五輪、フィギュアスケート男子シングル・ショートプログラム(SP)
演技に臨むマイケル・クリスチャン・マルチネス
(Michael Christian Martinez、2014年2月13日撮影)
(c)AFP/ADRIAN DENNIS

そして、初めてのフィギュアスケートに登場の、フィリピンのマイケル・クリスチャン・マルチネス選手。
ものすごく柔軟な、羽生選手を思わせる柔らかな演技で、女子並みの構成をしていた。
ショートは多分曲想に合わせた民族風な衣装、フリーは黒の上下に赤いラインストーンをデザインしたもの。

ヴェテランも若手も、黒が基調の衣装が多かった今回のソチ。
フレッシュな若い世代の登場で、フィギュアスケート界はドンドン変化が続いていく?


 【サーヤの一言】
今回、資料写真を集めて気づいたのは、ベテラン選手はシンプルな衣装でまとめてきているが、新人やランキングが低い人たちは「うわっ、すごっ!」とカラフルな派手な衣装で出てきているので、「観てくれ」と懸命のアピールなのかな?と思った。(…でもセンス的にはどうなのかな?と思うものばかり…)

もうひとつ、数々の写真を見てみてスゴイなと感心したのが高橋選手。
彼の写真はどれも表情豊かで写りが非常に良いのである。ユフィ母によると「彼は演じているから」。つまり、試合に集中していると顔が無表情になるか強張ってしまうものだが、高橋選手は曲に合わせて演じ続けているから、どの写真も曲想を表していてキマっているのである。
写真で改めて気づく「表現力」と「演技構成点」。(逆にP選手はどの写真も同じ表情…前から演技構成点が高いのに疑問ありだったが、やはり疑問である…)



フィギュアスケート衣装の記事はこちらにも書いています。
 2013 フィギュアスケートのファッション/浅田真央
 2013 フィギュアスケート日本男子の衣装に思う
 ソチオリンピック/フィギュア女子華やかに厳しい戦いのファッション
 ソチオリンピック/エキシビジョン衣装あれこれ
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 ソチオリンピック フィギュアスケートに物申す
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