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サーヤの記事
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ソチオリンピック フィギュアスケートに物申す

ついにソチオリンピックが終わりました。
今回のメダルは金は1個だけでしたが、獲得数は8個という快挙でした。8年前のトリノオリンピックで金1個しか取れなかった頃と比べるとかなりの進歩です。
ルール改正によって不調に陥ったスキージャンプも復活してきて、今後の冬季オリンピックも楽しめそうです。

さて、その中でユフィとサーヤはフィギュアスケートに最も注目していたのですが、色々な意味で「ああ、やっぱりなぁ」という結果でした。
昔から採点の疑惑が絶えない競技で、審判の不正が発覚して金メダルが二つになってしまったという失態(ソルトレイクシティオリンピック・スキャンダル)もありました。これを改善するためにルール改正を繰り返してきましたが、やはりそういう体質は変わらないと今回も実感しました。

といいますか、芸術点を取り入れた審判の主観が入ってしまう競技は、フィギュアスケートに限らず新体操やシンクロナイズスイミングなどでもしばしば疑惑が囁かれているようです。

フィギュアスケートの採点方法をよく知らない人は、「ミスをしないでキレイに滑られたら一番なんだな」と感じると思います。
でも、たとえば…ピアノのコンクールで中級より上とされる「春の歌」を選曲している人と、弾けたらすごい!と言われるリストの超絶技巧練習曲・第4番「マゼッパ」を選曲している人がいるとします。
そして二人ともミスなく弾けて、審判が判断して、優勝者が「春の歌」の人だった場合、あなたは納得するでしょうか?

以下、ソチ五輪に出場した主要選手達のフリープログラムの基礎点です。ジャンプの種類と回数と構成で基礎点が決まっています。
これを点数が高い順に並べると…

順位 基礎点
1位 浅田真央 66.34
2位 ソトニコワ 61.43
3位 ゴールド 60.64
4位 リプニツカヤ 59.57
5位 コストナー 58.45
6位 ワグナー 57.79
7位 キムヨナ 57.49

このように、真央選手は非常に高難度のプログラムで取り組んでいるのがわかると思います。2位以下は僅差で争っているのに対し、真央選手は2位と5点近くも差が開いています。
また、真央選手は現役では誰も飛べないトリプルアクセルを取り込んでいます。

キムヨナの基礎点57点台と構成は、ジュニア選手にもできる内容です。上記リストは7位ですが、現役選手のショート・フリー全ての基礎点を集めてみると9位に下がってしまいます。つまり実力的には10位に入れるかどうかというレベルです。



だからスポーツとして「ミスなく完璧にこなした場合」、真央選手が大差でフリー1位になるのがわかると思います。
しかし、フリーの結果は以下のとおりになりました。

順位 基礎点 出来栄え
(審判判断)
演技構成
(審判判断)
総得点
1位 ソトニコワ 61.43 14.11 74.41 149.95
2位 キムヨナ 57.49 12.20 74.50 144.19
3位 浅田真央 66.34 6.69 69.68 142.71
4位 コストナー 58.45 10.39 73.77 142.61
5位 ゴールド 60.64 8.93 68.33 136.90
6位 リプニツカヤ 59.57 6.71 70.06 135.31
7位 ワグナー 57.79 3.28 66.92 127.99
※赤字は転倒の大きなミスをした選手

真央選手の点数が審判判断で低くされているのがわかると思います。
世界中の人々を感動させた最高難易度のフリーを完璧にやっても、転倒があった2人の選手より出来栄えが低く、休む暇もないくらいの激しく豊かな振り付けをこなした演技構成も低くされ、フリーで3位になりました。

真央選手は他選手には飛べないトリプルアクセルを入れたショートとフリーを両方ともミスなく演じても、金メダルはなかったでしょう。
また、真央選手は3回転がギネス級の前人未到「6種×8回」を飛んでいるのに、キムヨナの「4種×6回」より負けてしまっています。

基礎点の低いキムヨナが一つ上のレベルだったワグナー選手と大差をつけて、こんなに高評価を得るのかについては、解釈それぞれ審判の判断それぞれなので、ここではあえて語りません。(言い出したら怒髪になりそう…)
事実として出てきた数字をどう見るかは、皆さんの自由ですヨ。

どうして真央選手が正当に評価されないのか、についてはこちらのサイトに詳細が書かれているので関心のある方はぜひ見ていただきたいです。
フィギュアスケートファンの多くが知っており、拡散に努めている有名なサイトです。
浅田真央が戦ってきたもの

でも、真央選手は「自分が満足する演技を見せたい」ことをメダルよりも一番の目標としており、それを達成して「人生で最高の演技ができた」涙と笑顔を見せているので、私はそれに満足したいと思います。
私も数年ぶりに見た嬉し涙の笑顔が見られたことが一番嬉しかったので…。
本当の芸術点というのは、見る人々を感動させる演技であるので、数字で採点できるものではないですよね。実際、フリーにおいては世界中の人々が真央選手の演技に一番感動し、素晴らしかったと絶賛してくれています。


フィギュアスケート女子FS、演技を終え涙を見せる浅田真央
20日、ロシア・ソチのアイスベルク・パレス(大里直也撮影) 

フィギュア採点をよく知らない方々にはぜひ知っておいて欲しいと思い、この記事をまとめてみました。
少しでも、真央選手の本当の強さが皆さんにわかってもらえますように…。


さて、もう一つ気になることがあります。
それはソチオリンピックから導入された団体戦のことです。

実はこれは、フィギュアスケートの選手や関係者、フィギュアに詳しい人たちは「選手がダメになってしまう」と反対していたようです。
なぜ反対なのか、どうして選手がダメになってしまうのか?
私はあまりピンとこなかったのですが、今回のソチオリンピックの結果を見て、わかってきました。

まず、フィギュアスケートのショートプログラムとフリープログラムを全て演じきるには、相当な体力と気力を必要とし、疲弊して回復するのに一週間かかるようです。
そのため、金メダリストの羽生選手もプログラムの通し練習は一週間に一回としているようです。
また、それだけのハードな試合をこなすためには、数ヶ月前からピークを合わせて調整していかないといけないのですね。
そして、試合の前は練習量を控えめにして、余力を残すようです。

そこに、個人戦を数日後に控えた団体戦を行うとどうなるのか…。
結果は、以下のとおりとなりました。

プルシェンコ選手はショートもフリーも大活躍して団体の金メダルに貢献するも、個人戦直前に腰の人工椎間板に埋め込んでいたボルトが破裂し(怖ッ)激痛のため棄権してしまいました。
(ボルトが破壊するほど、身体に負担の大きいスポーツということです。無理して試合をすると脊髄損傷の危険が高かったそうです。)
個人戦でメダルが狙える最高齢31歳の「皇帝」なだけに、さぞかし無念だったろうと思います。

同じくリプニツカヤ選手もノーミスで団体戦をショート・フリーともに一人でこなし、個人戦の金メダル最有力候補として期待されましたが、個人戦では転倒などのミスが相次いでメダルが取れませんでした。
逆に、団体戦に出場しなかったソトニコワ選手が個人戦で優勝するというなんとも皮肉な展開に…。

羽生選手も団体戦でショート1位で貢献するも、個人戦のフリーで大きく崩れてしまい、金メダルが危うくなってしまいました。
P・チャン選手も団体戦で活躍するも、個人戦でショート・フリーともに多数のミス連発し、同じく崩れた羽生選手に敗北してしまいました。
ゆえに男子フィギュアは「勝者なき勝利」とロシア紙で酷評されています。
もっとも、サーヤの中では、ミスは関係なく羽生選手の方が実力的には上だと思っていますが…以下、二人のフリーの基礎点です。
選手 基礎点
羽生結弦 74.72
パトリック・チャン 68.07
えぇー!真央選手の基礎点66.34点がチャン選手と2点しか違わない!真央ちゃんどこまでスゴイの!(驚愕)

真央選手も初めての団体戦で緊張して転倒してしまい、それを引きずったのか個人戦のショートでも信じられないミスを連発し、16位に転落してしまいました。そこからフリーで完璧な演技をこなしたのはさすがです。
鈴木選手も団体戦ではほぼノーミスで滑ったのに、個人戦で次々とミスを出してしまいました。
町田選手は団体戦も個人戦もミスしてしまいます。

村上選手は団体戦には出場していませんが、1ヶ月前の四大陸選手権に出場して初めて優勝したため、ピークが狂ってしまったかもしれません。
(普通はオリンピック出場者はピーク調整のために四大陸選手権には出ないようにしており、真央選手も鈴木選手も辞退していた)

キムヨナ選手は「欧米の選手でなくて良かった(団体戦に出なくて良かった)」と率直に語っています。それが選手としての本音なのでしょう。
彼女のように、団体戦に出場しなかった選手は個人戦でミスがあまりなく、本人なりの好成績を残しています。

やはり、団体戦に出場した選手は揃って個人戦で崩れてしまう悲劇となってしまいました。
私はこの結果を見て、なぜ団体戦に反対した人が沢山いたのか、やっと理解できました。
確かにこれは「選手がダメになってしまう」といえます。

また、リプニツカヤ選手のように団体戦で大活躍すると、個人戦までの間にマスコミが殺到して調子を狂わされてしまうことがあると思います。
キムヨナのライバル出現だとして韓国マスコミに追い掛け回され、「メディアが邪魔でしたけど(怒)」と睨みつけたほどで…(その動画もありましたが怖かった)。その影響もあったと思いますので、かわいそうだと思います。

どうしても団体戦を行うならば、次のとおりにした方が選手たちのためになるのでは…と色々な人たちが以下の意見を出されています。

1.団体戦は個人戦の後に行う。(選手達に個人戦を優先させる)
2.団体戦は個人戦の選考からもれた選手が行う。(今回の場合、織田選手・小塚選手・宮原選手・安藤選手などが団体戦で戦う)
3.個人戦と団体戦は異なる選手が出場する。(出場選手の選考もそれぞれに行う。それぞれが得意な選手だけが出るなど、全く別の種目として扱う)


確かに、こちらの方が選手の負担も軽くなり、応援する選手が増えるという意味で良いかもしれません。
特に日本選手は層が厚くて、オリンピック選考からもれてしまうのがかわいそうで…その人たちが団体戦に出られたら嬉しいですね。

私は2.3.の提案の方がいいです。個人戦でメダルを取るとどうしても数日間はマスコミのインタビューに応答しないといけないので、団体戦への休養と練習ができなくなりそうですから。
(金メダリストの羽生選手は試合後にインタビュー対応もあって疲労して5日間休養したという話ですし…エキシビションに間に合ってよかったね)
あと、個人戦と団体戦に出るとなると、エキシビションも出なきゃなので五輪開催の2週間は現地に束縛されてしまいますよね…それもきついと思いますし、一ヵ月後の世界選手権への準備が困難になります。やはり選手には負担大きいですよね。

4年後の冬季オリンピックから、団体戦の種目について改善されることを望みます。

ふう、フィギュアスケートについてはバンクーバーオリンピックの頃から色々と疑問に思っていて、でもわざわざブログやサイトで書くのも何だかなぁと思って控えてきていましたが。
やっぱり、ちょこっと(?)書いておきたくなりました。

2020年東京オリンピック開催が決まってから、何だかオリンピックについて何かしたい気持ちになったかしら?
ともあれ、2020年東京オリンピックは色々なものを改善して楽しめるものになるといいですね。(半分無理だろうなぁと思いつつ)

ともあれ、3月の世界選手権が楽しみです!日本選手たち頑張れ!
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