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NHK「花子とアン」 衣装が楽しみ その5

連続テレビ小説 花子とアン Part1 (NHKドラマ・ガイド)
最終章に入って戦後のそれぞれ

円熟期の花子は品が良い

花子は50代、白髪がこびんに目立ち始め、すっかり中年のおばさんに。
流石に着物も落ち着いた色合いになってきたし、小紋柄の半襟も薄い色の無地になってきている。
そして、父親の葬式の後、自宅で家族全員揃った喪服姿の花子の半襟、当然白なのだが下襟が広めになるクセが出ていて、「あら、また?」の心境。

黒い喪服に白いう襟元は、とても目立つから気になるんだって!
カメラの向きで気にならない場合もあるのだが、この数週間も「また」と言う場合が少しは見られたのだ。
花子に限らず、他の役の人にも少し見られたので、着付けの人のクセだとは思うが、主役だから目立つこと、目立つこと。
気にする視聴者は少ないだろうが、ユフィみたいなのも居るから、注意は肝要。

花子のきつい襟元は、他の役の女性には少ないのだから、性格を表すというよりは、花子役の女優さんの長い首と体型のせいなのかも知れない。
40代、50代と、大分落ち着いてきて、喉もとの窪みが少し見えるまで緩めにはなっている。

昔、ユフィはファッション誌の和服の着付けを手伝ったことがあり、モデルの体型で着付けがすごく変わることを経験したから、なんとなく分かるような気もするのだ。
実際に、母の着付けはすごく粋で、ゆるめに着崩したような襟元が特徴だった。

それなのにユフィの場合は、どちらかと言うときつめに襟元を合わせたきちんとした着付けだ。
性格もあるだろうが、体型でかなり着付けに差が出てくるものである。

最後に近づいてからは、半襟に小紋が復活した。
とても品の良い小柄で、老けてきた花子にはふさわしく、襟元も細めになってきて落ち着いている。
最後の衣装は、ブルーグレイに白の小さな桜模様、白襟で黒い羽織が品良くまとまっていた。


蓮子の場合は白髪が印象的

蓮子の場合、かなり緩めの襟元で、半襟の出し方も細くなっている。
息子を戦死させたことで、只今真っ白な白髪に変化してしまったから、まずはヘアスタイルに目が行って着物姿には注意が行かないかも知れないが、小柄な地味な着物に半幅帯を貝の口に簡単に締めたスタイルが多い。

一夜にして白髪になる設定は、「フランスのマリー・アントワネットが処刑の前夜に絶望のために髪が真っ白になった」と言われているそうだが、鬘なのか地毛なのか、実に見事に真っ白な髪だ。
今週では日が経っているから、根元から茶色の毛が生えてきていて、斑なヘアスタイルになっている。

鬘なのかどうかとしっかり画面を確認したが、全く地毛のようなので白くしてしまったのかも…。
役者魂の現れと言うことか
最終回では、また真っ白になっていたが、最近見た新聞の古い写真では、ご本人が白髪だったから納得したけれど、忙しかったろうな。

花子と共にラジオ放送で全国の息子を戦死させた母親に語りかける場面は、蓮子の再生の場になっていた。
久しぶりにきちんとした和服姿で、スッキリとしたのだが、帯の結び方に一言。
お太鼓の形が例によって小さすぎるのと、位置が老年なのに高すぎることのふたつ。

年齢によって、太鼓の大きさや位置は変化するものだ。
最も蓮子の場合は、お太鼓の大きさは若い頃から小さめで、気になっていたのだが…。
上流社会の決めごとなのだろうか?

そういえば芸者衆などの帯は、すごく目立つような大きさに整えられているから、そうなのかも知れない。
気になるからリサーチしてみたが、ユフィの疑問に応えてくれそうなものは見つからなかった。

ただ、帯が簡単に変化したのが大正期で、「名古屋帯」「袋帯」が流行したらしい。
それまでは、上流社会では「丸帯」という重くて両面織物の帯が主流だったようだ。
見える部分だけ柄ものにする「名古屋帯」と、全部総柄で丸帯を裏だけ無地にした「袋帯」に変わって行った変換期だったから、帯は小さめになったのかな?

花町などでは、丸帯を使用して華やかさを競っていたのかも知れない。


かよはすっかり落ち着いた

かよも独力で開いた店を空襲で失い、2度目の絶望から逞しく立ち上がっての闇市での商売姿なので、割烹着に手ぬぐいを姉さん被りにする姿が多い。
襟元は年代に合わせて、少しずつゆるめになりつつある。

戦災孤児を二人、手元に引き取ってのお母さん姿が、板についてきた。
最終週では、黒地に星を感じさせる大小の白絣で、帯は更紗模様のとても粋な装いだ。
半襟にも変わりチェックが復活していたから、かよもすっかり落ち着いたということらしい。


ももは主婦になりきっている

ももはすっかりお母さんになり、全体的に落ち着いた「昭和のお母さんスタイル」だ。
姉の花子よりも、着物の色合いも襟元も落ち着いているのが分かる。
全体的に「小豆色」の暖かな印象に変化はない。


義理の姉になった醍醐さんは田舎に馴染んだかな

「醍醐さん」と苗字でばかり呼ばれていた亜矢子さん、NHKの特集で『醍醐亜矢子のおしゃれ』が特集されていたけれど、大正・昭和の洋装が彼女らしい装いで説明されていて、楽しかった。
が、なぜなのか、ユフィは興味を惹かれなかったのだ

バラの花をアレンジした洋装が、ユフィ好みでなかったからなのだが、花子の兄の押しかけ女房になって、田舎の古家にどう馴染んでいくのか、は興味はある。
で、その後の醍醐さんは、努力したのだろうね。

姉さん被りの手ぬぐいも、割烹着も、なんだか田舎臭くなくて垢抜けている感じだ。
手ぬぐいはスカーフ系だし、割烹着は柄物だから、亜矢子さんの雰囲気はしっかり出ている。

最終回では、「赤毛のアン」発行記念のパーティで、ピンクの洋装で現れていたから、全く田舎には染まっていないのだろう。
甲州のぶどう酒造りに、今までの職業婦人の経験と、実家の貿易商のコネを発揮して、内助の功を積み上げていくんだろうな、と思った。


久しぶりの宇田川先生に度肝を抜かれる

最後に突然現れて、突然去って行った、花子の作家ライバルである宇田川先生。
彼女らしいインパクトのある衣装だったし、小気味良い出演場面だった。
期待を裏切らない、と言う意味では彼女が一番かも…

なにしろ、ブルーと濃いピンクの変わり市松模様に、赤やら黄色やらの花模様と華やかこの上ない着物、若草色に赤と黄の花模様の帯、そしてブルーとピンクのオーガンジーの花の髪飾り。
それも小さくなく、帽子のように大きいのだからすごーい

そして、極めつけなのが半襟だ。
濃い茶色に白い水玉模様、「頑張ったよなあ 衣装部も」という感じだった。
戦後すぐの闇市のかよの屋台に居ても、そこそこ派手な格好をしていたけれど、アメリカンナイズされた結果なのかな。

戦前の派手なイヤリングは、今回は控えめであまり目立たなかったけれど、花子と同年齢くらいのはずだから、衣装部が楽しんで遊んじゃった、としか思えない


「語り」の美輪明宏と「脚本家」の中園ミホの対談

引用:https://www.facebook.com/NHKonline

「花子とアン」の放送終了が迫った日、2日続いてBSと地上波で「対談」を偶然見た。
和服の話なのだから、まずはその衣装から始めたい。

美輪さんは、例の金髪に黒いカチューシをつけ、黒地にシルバーの柄が煌くロングドレスだ。
宝石はグリーンに輝くエメラルドをイヤリングとネックレス、ブレスレット、リングと華やかに付けて舞台衣装のようなスタイルでの登場

中薗さんは、最後の宇田川女史に似た大正時代風の着物姿だったのだが、NHKの衣装部から借りてきたのかと思うような柄ゆきだったのだ。
やっと写真付きのサイトを見つけて確認しながら書いているが、NHK提供の写真らしい。

臙脂系の赤の地にユリらしい大柄な花模様、ピンク系の柄物の半襟、黒地に大柄な銀模様の帯と、なんだか組み合わせがちょっと野暮ったい
パーマの効いたセミロングヘアに、ピンク系の花飾りをつけていて、「似合うとも似合わないとも言い難い」スタイルだった。
難癖つけたくは無いけれど、着物の着付けの丈が短すぎて、足首が見えそうなのが気にもなる。

「花子とアン」視聴率20パーセント越え、いつも一位だったこの成功は、やはり脚本の力が大きかったみたい。
他のサイトで色々と書かれているから、ユフィは書かないけれど、他局のドラマも面白かったし…。

脚本の裏話や、美輪さんの戦時中の実話、二人のお気に入りの「かおる子さん」の話etc…。
そう、最終の「赤毛のアン」を読むシーンでも、洋装のかおる子さんが出ていたし、そうとうお気に入りだったんだな、と納得して『おしまい』。


 NHK「花子とアン」 衣装が楽しみ その1
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