やましたさんちの玉手箱
ジャックの記事
連載
01 ナースが喰らっている 毎日のお菓子
02 医局 その神聖なる居室での メシ時のユルさ加減
03 ジャックの掃除はピッカピカ まず道具より入れ
04 ゴミ箱が物語る 患者さんの「生格」
05 探し物は何ですか 見つけにくいものですか
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ゴミ(清掃員)から見た病院の日常 入院前にお読みください

03 ジャックの掃除はピッカピカ まず道具より入れ

 そろそろ実技に移らなければなりません。いつまでも、食い物横目で見ているようで卑しいことこの上なし。
 日常の病院清掃をまずはご紹介。会社の、というより病院の始業時間は7時から。夜勤看護師たちと日勤看護師たちの引継ぎとミーティングが、だいたい8時頃から。早い看護師は7時半頃には出勤してくるので、その前に、ナースステーションのゴミ回収と掃除を済ませなければなりません。
 この病院は病棟フロアがAとBに分かれているので、各ステーション15分~20分で済ませます。8時頃には食事の配膳車がやってきて、病室に食事が配られます。出来ればその前にやっておきたいのが、各ベッド周りにあるゴミ箱の回収とビニール袋の入れ替えです。主として女性の担当になりますが、一番の患者さんが風呂を使うのが8時半頃からになるので、風呂掃除も忘れられません。
 8時には患者さんの食事が始まりますので、この間を利用して共用部・エレベーターホールや廊下の掃除を済ませます。同時に回収したゴミの分別と整理。

 朝一番のコースが終わって15分程度の休憩。この間にリーダーは各フロアを回って、この日の退院患者とその病室の一覧を集めてきます。病棟・病室・ベッド周りの掃除の他に「退院清掃」といって、退院した患者さんのベッド下、衣類や小物入れに使用していた棚、テレビと冷蔵庫が一体になっているキャスター付きの台を廊下に持ち出して掃除します。
 この退院清掃ですが、当然患者さんが多いときは退院、入院の入れ替えが多くなり、件数も増えて忙しくなります。概して、週末、天気のよい日に退院が集中する傾向があります。退院は8割方は午後から、従って入院患者が待機していて、早い時間に退院者が出た時は、急な退院清掃の指示がきます。
 休憩が終わった後は、病室の掃除。午後は退院清掃が多くなるので午前中に済ませることになります。

 で、どんな風に掃除が進むか、は掃除道具で説明した方が分かりやすいので、以下、道具の写真で説明していきましょう。
清掃三点セット
 まずは主力3点セット。塵取り、モップと右にあるのは通称「ダスター クロス」といっている埃とり。スチールのヘッドに厚手の布巾を取り付けたもの。箒では取りきれない細かいチリ、髪の毛などを取り付けます。これらは官給品、会社の支給品です。

缶バケツと道具入れ
 左にあるのは缶バケツ、かなり密閉性の高い蓋付き。「COCORO」と名前が付いていますが、姫路に本社のある鉄鋼メーカーが作ったもの。直径30センチ、高さ45センチほどのもの。東急ハンズの銀座店で見つけたもので、私の好きなグリーンがあったので買っておいたもの。この他に赤と黒がありました。その後ブルーが出来たとか。
 私は洗ってあるモップの房を4~5本入れておいて、いちいち洗いに行く手間を省くのに持ち歩いています。もちろん、こんなもの使っているのはわたしだけ。
 右のはスチールの網目のある収納用手提げ。とりあえず日常使用する用具が入れてあります。会社で支給している手提げいれもあるのですが、底にほこりがたまりやすく、用具も整理して入れにくいので、これもハンズで見つけてきたもの。中身は次の写真で。

小道具
 左上は軍手、手に平部分に突起のあるゴムがボツボツと付いています、名づけて「らくてぼつ」という軍手、ビニールの袋を開ける時などに便利、白地に黄色、黒地に白とありますが、この紺地に白は東急ハンズのオリジナル、あるとき看護師が“ブランド軍手だね”と言ってました。
 その下はゴムの手袋、モップを洗う時は必ず付けます、モップの房が引っかかりやすく、きつく絞れます。下の布は左が「汲水シート」といわれるもの、水に漬けよく絞ってつかいます。タオルでは拭ききれない細かいところまで、手がとどきます。中のものは通称「仏壇拭き」。仏壇のような黒い家具の埃はなかなかきれいに拭き取れません。このぶるーの布に埃がくっきり付いてくるのが目視できるほど、拭き取りがよい。特別室のテレビ台専用、テレビやガラスの仕上げにも。右の黄色の布は「べっぴんさん」と名前がついた布巾、テレビの画面部分や、個室の箪笥部分のガラスに使います。
アマゾンでも通販してます。
 右上、ペンケースは小物が入っています。中身は次の写真で。茶色の四角いものはプラスチックのタワシ、使い込んであるので少々だらしなくなっていますが、風呂の床やベッドのオーバーテーブルに着いたしつこい汚れに洗剤と一緒に使います。隣は「ケレン」ガム落としに使いますが、床に付着したものわこそげ落とすのに使います。
 以上全て、私が勝手に見つけてきて、勝手に使っているもの。

ペンケースの中身
 ペンケースの中身。
 左はスチールのペーパーナイフ。細かい隙間などの汚れに、前掲の汲水シートをかぶせて使います。隣は小型のはさみ、その右はスチールの耳かき、テレビと一体になった冷蔵庫は底部分が細かい溝になっていて、布状のものでは拭ききれません、これも汲水シートをかぶせると、溝にぴったり合うのです。その右は細いブラシ。

洗剤三種類
 院内の清掃には社から「スタビル」という洗剤と「アクセル」というものを使うよう指示されています。スタビルは一般、アクセルは血液、体液など専用に使います。左は社から提供されている容器、私はこれにはアクセルを入れています。スタビルは持ち歩くのにちょっと大きすぎてジャマなので、小型の霧吹きを見つけてきました。同じデザインの大型のものに入れておいた洗剤をその都度、小分けにして持ち歩いています。“それ、欲しい”というおばさん、何人かに買ってきてあげています。

洗剤四種類
 左からクレンザーとジフ、主として風呂場の掃除用。消臭スプレー、おしっこの始末をする時もあるので、常備品、芳香のあるものだと返って患者さんから嫌がられるので、この無臭のものを、ハンズの消臭の専門家という人から進められて買ったもの。「ステア」感染の患者さんが出た時に使用、塩素系の洗剤、病棟からの指示で使用。

大きなゴミ袋
 この茶色の袋は「ゴミ袋のゴミ袋」。日中に医局やステーションから出るゴミは、弁当の空き箱などが多いので、不燃用の透明のビニール袋では中身が丸見え、これを抱えて待合の患者さんの前を通り過ぎなければならない時があります。場合によっては臭いが残っている時もあるので、私は撥水性のある生地を買ってきて、ユフィにミシンかけてもらい、指に痛くないように、太いロープを買って持ち手にしました。ゴミ袋を入れるゴミ袋、70×70、ジャックのオリジナル。
 ガムスリーパーとトラブルシューター。ふだんあまり使いませんが、あると便利には違いなし。特にトラブルシューターの威力は、床のワックスまではがすほどですが、使い所に気をつけないといけません。

 これだけのもの揃えてジャックは日頃お掃除しています。患者の皆さん、ご安心を、ジャックの掃除するベッド周りと、病室はいつも清潔、ピカピカでーす。
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