鉱物ではなく天然樹脂
天然樹脂の化石で、宝石とされる琥珀。
鉱物に比べられるほどの硬さを持ち、色彩は黄を帯びた茶系、黄金色。
「琥」の文字は、中国の昔の話で「虎が死して後、石になった」との話からきている。
日本の産地である岩手県久慈市では、「くんのこ(薫陸香)」と呼ばれる。
日本産もあるのなら観てみたい…。
昔は帯止めや根付に使用されたみたい。
古代ギリシャではエーレクトロン (古希)と呼ばれるらしい。
意味は「太陽の輝き」という意味。
ドイツでは、「燃える石」とも呼ばれ、可燃性である石とされる。
琥珀の利用はとても古く、旧石器時代まで遡るとされている。
真珠や翡翠と並び「人類が最初に使用した宝石」とされているそう。
調べないと知らなかったことばかり、真珠や翡翠より安価で身に付けやすい宝石だ。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』から引用。
外国で見つけたブローチ
若いときには、家族で海外旅行によく出かけていたので、1人留守番の母への土産はいつも宝石類のアクセサリーだった。
例えば「アクアマリンが施されたチェーン」だったり、「翡翠・軟玉のイヤリング」だったり、高価ではなくとも日本には無いようなもの。
写真の琥珀も多分オーストラリアのお土産だったと思う。
ブローチは、街中の土産物屋ではなく、普通の商店のケースの中に見つけたもの。
古ぼけた印象の濃い琥珀で、銀の飾りが古風感を高めている。
いかにも中年以上の女性向き、と感じたのだ。
合わせてイヤリングも欲しくなったので、免税店で探した。
色は浅いが、とても綺麗で気に入ってくれた。
今と違って30年前は、ネット販売やテレビコマーシャルも無かったから、母はとても喜んで身に付けてくれたのだ。
例え高価ではなくとも、日常の生活では手に入らないものだったから…。
母は喜んでくれたが、余り出番は無かったと思う。
琥珀って茶系の服装に合うが、母のファッションに茶系は少なかった。
むしろユフィの方が茶系や黒系のファッションは多いので、母亡き後は重宝している。
ブローチは大きめなので、和服の際には帯止めとしても活用できる。
もっとも何回も使用は出来ず、和服は引越しの際に殆ど処分したので、これからはブローチとしてのみ活用するつもり。
でも宝石としては地味だよね。
琥珀の部屋探し
昼からは暇なので、テレビを観ることが多い。
NHKBSで、『琥珀の間』探しのドキュメンタリーを観た。
昔のナチスの略奪だそう。
『琥珀の間』は、ロシア連邦のサンクトペテルブルクにあるエカテリーナ宮殿内の一室。
その名の通り、部屋全体の装飾が琥珀で出来ており、これは世界で唯一のものとのこと。
(ウィキペディアより)
発端はプロイセンで構想され、ピョートル大帝に譲られたが放置され、その後即位したエリザヴェータは自国文化の更なる西欧化を図って、謁見の間の装飾として活用、『琥珀の間』は完成したといわれている。
その後、エカチェリーナ2世の時代には夏宮に移され、部外者の立ち入りを禁じたと言う。
第二次世界大戦中にナチスが、ヒトラー総統による新美術館の建築のために剥奪。
文字通りに装飾を剥がしてカリーニングラードに運ばれ、展示されていたが、イギリス空軍の空爆にあい、琥珀は全て消滅したとされているらしい。
第2次大戦後、エカテリーナ宮殿は修復が進められていたが非常に難しく、視覚資料が殆ど残っていない中で、2003年に24年の歳月を掛けて修復。
現在に至っているが、失われた「琥珀の間」を見たものがいるとされて、何処かの古い館に隠されているとの伝説があるらしい。
テレビ番組は様々な伝手を頼り、各地で捜索しているのだ。
琥珀の産地はカリーニングラード、ロシア本土とはつながっていない飛び地で、ポーランドとリトアニアに国境を接し、バルト海に面した港町。
かつては"北方の金"と呼ばれ、金と同じ価値をもつものとしてヨーロッパ大陸からシルクロードまでも旅した琥珀。
ヨーロッパでは、「永遠」や「幸運」の意味をもつ宝石としても大切にされてきたそう。
「琥珀の道」としても有名。
(たびこふれ美術館より)
母亡き後の宝石の行方
一応娘のユフィが受け継いでいる。
年齢的にも似合う年頃だし、高価なものはさほど無いし…。
母独自に手に入れた品は、翡翠のリング。
「琅玕(ろうかん)」と言われて購入したらしいが、ユフィが友人に教えてもらった範囲では違うようだ。
なにしろ色がとても濃い、透明感は全く無い。
これで金細工だったら「ネフライト」確定だが、一応プラチナ細工だからセーフ。
オーストラリア土産のイヤリングと合わせて、時々身に付けている。
大切にしているリングは、イエローダイヤを中央に埋めたパヴェタイプ。
目立つことなく自尊心を満たしてくれるデザインで、イエローダイヤのペンダントに合わせて活用している。
歳をとってくると、さり気なく本物の宝石を身に付けたくなるもの。
と、言っても行く場所がなかなか無いのも事実。
琥珀くらいが「丁度良い」のかも…。 |