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                          | 萩本 欽一 対談本『小林 信彦 萩本欽一 ふたりの笑タイム』
 名喜劇人たちの横顔・素顔・舞台裏
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                          | 昭和のテレビバラエティー、喜劇人たちの、おかしな、ふしぎな、生きた、話の本 ジャックから本が送られてきた。とても面白い本だけれど、カズンのほうがリアルタイムで知ってることが多いと思うので、気に入ったら読後感書いてくれ、ということだ。
 表題の本は
 集英社 刊  1500円プラス税 254ページ
 
 
                            
                              
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                                    小林 信彦 萩本 欽一 集英社
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 |  まず、正直な話、オレは萩本 欽一はあまり好きではない。今もそうなんだけれど、あのオーバーアクションにちょっと引いてしまうところがあるのだ。テレビで大笑いした記憶はあるが、それは相棒・坂上二郎のとぼけた味が、おかしかったから。でも、昭和のテレビがとても面白かったころの舞台裏、喜劇人たちの生の姿を存分に知っている、文字通りの生き字引き・小林 信彦との対談で、コント55号、クレイジー・キャッツ、タモリに、渥美 清、エノケン、三木のり平などが俎上に載せられるとあっては、この本にも登場する元トリオ・ザ・パンチの内藤 陳じゃないけど“読まずに死ねるか”だ。なにより、ここでは欣ちゃんの個性が出てこないのがいい。それだけ、登場する喜劇人たちのおかしさが際立っているのだ。
 以下、一人ひとりのおかしさ、エピソードを本文から。
 
 
 まず、この本が出来ることになったいきさつから。
 その昔、コント55号を結成した頃、わからないこと、迷うことがあると、ぼくはだれかに話を聞きに行っていました。
 そのなかのひとりが小林信彦さんです。
 出会ったときの新進の作家だった小林さんは「笑い」の世界にめっぽう詳しい人でした。
 ……………
 あれから長い歳月が流れて、ぼくはまた小林さんに会ってみたくなりまし た。
 (はじめに から)
 
 二郎さんの“飛びます飛びます”のいわれ
 紙ヒコウキを飛ばす場面があって、二郎さんが、いきなり飛ばそうとするのを、欣ちゃんが、飛ばす時は、管制官に飛びますって言わなきゃだめでしょ、というと、二郎さん、ヒコウキに小さな声で、飛びます飛びますって。それが受けて、何かと言うとこの飛びますがとびだすようになったとか。
 
 植木 等の お呼びでない
 若かりし頃の布施 明。若い女性たちに囲まれて、キャーキャーいわれている時、迷彩服姿の植木が鉄砲持って登場して“伏せ、伏せ”と叫び、思わずきょとんとしている布施に“お呼びでない”と言ったのがギャグのはじまり。このお呼びでない、のフレーズだが普通ならお呼びじゃない、といのだが、でないといったところが、おかしさの元だ。
 
 植木 等には日常でもおかしなところがあって、
 小林 理由のないおかしさなんですよ。たとえば、植木さんが病気で入院した後、日テレの前で偶然会ったことがあってね。「どうですか?」って聞いたら、「うん、まあ、ちょっとお話しましょう。お茶の一杯も出せませんが、道端へ座りませんか?」って言うの。おかしいでしょ? 植木さんはスカッとしたスーツ姿で、ぼくも一応スーツ着てたけど、ふたりで日テレの横の道端に座ってはなしました。
 萩本 なんか、すごい光景だな。
 
 谷 啓のおかしさ
 萩本 聞いた話では、谷さんか゜でっかい車に乗ってて信号で止まった時、隣の車の人が“だれだろう、こんなでっかい車に乗ってんのは?”って言ったのが聞こえたんですって。谷さん、その言葉に耐えられなくなって、、そぉーと車を降りて反対側に回って“ばっかやろうー、こんな車に乗りやがって!”って、自分の車を自分で蹴ったっていうの。
 
 谷 啓さんの話では、自宅が火事で全焼したときのこと、見舞いに行った人たちが見たのは、家族で家の前でマージャンしてたところ。谷さんは“自分たちにはなにもできることがないから”っていう話もすごい。
 
 一般の人にはあまりなじみがないけれど、欣ちゃんの師匠といえる石田 瑛二さんとの芸談義
 萩本 ぼくが教わったことをメモに書いていたら、それを見てた石田さんがこう言ったの
 “書くんじゃない。この仕事は書いて覚えるんじゃなく、身体で覚えるの。頭で覚えてたらできないよ。教わったことはその場で体にすぐいれる。体に入らないものはお前に不向きなんだから、それは忘れてかまわない”
 
 寅さんのアリア
 小林 (アドリブについて)山田監督に“ここんとこで、ちょっとこういうことをやってみたい”とか言って、いつも寅さんがばーっとしゃべりだす場面があるでしょ。あれのこと、「寅さんのアリア」って言うんですよ。
 
 三木のり平 八波むとし 天下一のボケ ツッコミ コンビ
 二人が組んだ「雲の上団後郎一座」。これはテレビでよく見て笑ったなあ。姉のアヤコなんて、涙流して笑い転げてたの思い出した。
 三木のり平といえば、森繁久弥の社長シリーズで、何かというと、宴会部長ののり平が“社長、今夜はひとつ、パッといきましょう”と言って、眼鏡の下から上目遣いで、つぼめた指先を上に向けてパッと広げる動作をするんだけど、これがすごく卑しくて、下品で、それでいてつい、誘い込まれるような芝居なんだ。俺たち、友達と、これ真似するんだけど、絶対のり平にはならない。
 あー、思い出すなあ。俺も年とってきたから少しは近づいてるかな。今度ジャックに会ったらやってみるかな。
 
 書き出すときりがない。森繁の話もあるし、由利 徹の話もおかしい。
 現在のタレントではタモリの話も出てくる。芸人ではあるけれど、舞台人でも映画俳優でもない、ふしぎなおかしさのある人。いつか近くに住んでいた欣ちゃんの家に、全く突然、何の連絡も無くやってきたという。そんなおかしさが紹介されている。
 
 もう一人、今や日本を代表するエンターテイナーといえる、ビートたけしの話がここでは出てこない。浅草出身の漫才師だったけれど、ふたりの芸能史には入っていないのかもしれない。
 
 最後にもう一つ。この本の省の最後に、話に出てくる人、外国人も含めて、また、その当時の事象などが、注釈としてまとめられていて、これをじっくり読むのも面白い。解説だけでなく、エピソードも添えられているので、いきいきとした貴重な芸能史になっている。一つだけ紹介しておく。
 常田久仁子(ときたくにこ)
 フジテレビのプロデューサー。『お昼のゴールデンショー』でコント55号と出会い、のちにディレクターとして『欣ちゃんのドンとやってみよう!』を手がける。萩本欽一は常田の葬儀で“浅草の小汚いタレントを、萩本欽一という別の人間にしてくれた”と弔辞を述べ号泣した。(1928~2010)
 
 
 ジャックに面白い本を読ませてもらったので、お礼に俺の本棚からジャックの好きそうなのを見つけて、おくることにした。
 
  
 同じ小林 信彦が書いた
 植木等と藤山寛美 新潮社 1992年刊 1.200円 225ページ
 
 
                            
                              
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 |  人気タレント22人との対談
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 1992年刊 1.200円 222ページ
 
 
                            
                              
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