平日午前中なのに人出が凄い
ことの始まりはユフィの一言から…。
「桜は早かったから藤も早いかも…。亀戸天神がバスで行けるようだから行かない?」
サーヤがすぐ乗った「亀戸天神ってくず餅が有名なんだって」
そしてジャックが「亀戸行ったら土産にきんつぱ買ってきて」
サーヤは連日の残業でお疲れ、4月19日木曜日に休みを取っていたので行くことになる。
渋るジャックへの口説き文句は「ユフィと出かけると雨が心配」だから…。
我が家ではユフィは「雨女」で、ジャックは「晴れ男」なのだ。
近くのバス停から錦糸町まで出て、歩いて15分とサーヤは言うのだが、これが長かった。
必死で歩いたから着く頃にはバテバテ状態、しかも期待には沿ってくれない開花状態。
何でもかんでも早い今年の花、5月の連休辺りが見ごろのはずが4月の半ばで終わりかけ。
ジャックの神通力は快晴でバッチリなのに、花の咲き終わりは進んでいて「あ、こんなものか?」なのがなんとも…。
それでも一応太鼓橋を渡り、藤棚と池のある庭を散策。
サーヤはもっと丈の長い花を期待していたらしく、「今満開? 咲き始め? 終わったの?」の?の連続。
平日の午前中なのに人出が多いし、外国人も多いし…。
それでも池には沢山の亀がいて、池から出ている岩で甲羅干し中。
親亀の上に子亀が乗って、子亀の上に孫亀が乗って…、と言う状態が面白かったけど…。
それでも一応一回りして、神殿にお参りを済ませて、3人の気持ちはすでに「くず餅」へ。
バス通りに戻って、古い日本家屋の店構えの「船橋屋」へ急ぐ。
くずもちって関東と関西では別物
ユフィは先日テレビを見ていて『船橋屋のくず餅』の作り方や伝統の味わいは知っていたから、藤祭りにかこつけて家族を誘ったのだが、『くずもち』について講釈を少し。
ジャックの実家の近くの「柴又帝釈天」にもくずもちが有名な店があり、世田谷の前の家の近くの伯母が大好きで、お土産によく買っていた。
今回調べたら、亀戸天神の「船橋屋」と同じ店だと気付いた。
東京の「くずもち」と京都などの関西の「くずもち」は、原料が全く違っている。
東京の「くずもち」は、乳酸菌で発酵させた小麦澱粉から作られる。
黒蜜ときな粉をかけた歯ごたえのしっかりした味わいが魅力。
反して京都(関西)の「くずもち」は、葛粉から作られる本物の「葛餅」。
つるっとして喉越しが爽やかな優雅な味わい?
昔仕事で奈良の葛を取材したことがあるが、葛粉にするまでの作業がものすごく大変で、貴重な味わい。
車道の道傍にも繁茂する葛の枝、物凄い繁殖で大変そうだが、この繁殖旺盛な葛の根が原料になるので、葛粉はとても滋養が豊か。
母が入院中には、昼食に間に合うよう「葛湯」を手作りして、毎日通った思い出がある。
火にかけて砂糖と水で練るのだが、コーヒーや緑茶・果汁などで味を変えたっけ。
「葛餅」は粉にするまでが非常に手間ひま掛かっているが、餅にするのは練るだけだから比較的簡単なように思う(実際には違うかも…)。
でも「くず餅」はとっても作るのが大変そう、船橋屋では450日掛かる」のだそうな。
「小麦の配合や発酵期間、良質な水」が必要らしい。
くずもちの名の由来もネットで調べて、初めて知った。
船橋屋のあるところは、昔の下総国葛飾郡と呼ばれたところ、現在の葛飾区の前身?
良質な小麦の産地で生まれた餅の名を地名から「葛餅」としたのに、関西の「葛餅」と紛らわしいので「くず餅」または「久寿餅」となったんだって。
早い時間帯だったから、まだ混んでいない店内でのんびりとくず餅をいただく。
サーヤは定番の「くず餅」、ユフィは「豆くず餅」、ジャックは「コーヒー」。
しっかりとした歯ごたえのくず餅に、厳選された黒蜜ときな粉が調和していて美味しい。
ユフィの「豆くず餅」も、赤えんどう豆の塩味がよく合っていて満足。
コーヒーは苦かったらしい、ジャック曰く「まるで抹茶だね」だって。
泡立った見た目も取っ手無しの器で和風な感じ、別添えで籠の中にシュガーとクリームが…。
食べている内にどんどん混んできて、早々に外に出る。
店外のベンチに座って待っている人の列、早めに食べてしまって正解。
ジャックは錦糸町に戻って、酒のツマミの干し魚を買いたそう。
サーヤは早く帰ってのんびりしたいと、ジャックと共に錦糸町へ。
ユフィはまたまた歩くのか、と嫌になって、分かれてひとり「東京スカイツリー駅」にバスで乗って、バスに乗り継いで帰る方法をとった。
10年前の「足利フラワーパーク」の写真
ジャックが連れて行ってくれた「足利フラワーパーク」の藤は凄かった。
樹齢150年、600畳もの広さに植えられた4本の藤の樹。
今現在の開花情報では、4月下旬は「うす紅藤」が見頃だそう。
5月上旬までには、「大藤」が見頃で「白藤」は八分咲き「きばな藤」は4分咲き。
まるで葡萄みたいな花
こんな状態の藤の花なら、サーヤも納得したのだろうけれど…。
休み潰して出かけたりはしないんだろうな。
関東地方の藤の名所『亀戸天神』の記述があり、15棚100株もの藤の木があったそう。
1.5メートルにもなる「亀戸の5尺藤」の「亀戸の藤浪(波のように揺れる様)」が見られるはずだった?
そりゃ、サーヤでなくとも期待感は大きかっただろうにね。
でもジャックの写真も結構見ごたえ充分ではありました。 |