今まで紹介した通勤路、紅葉でも、桜でも紹介できなかったものだけれど、今いちばんに緑のトンネルを作っているものに「柏の樹」があります。カシワって、語感はとてもごつくて、堅そうなカンジがしますが、そのとおり。太い幹に、地割れのような裂け目が縦に走っています。
ご存知の方も多いかもしれませんが、この柏、冬になって、葉が枯れて、茶色になっても葉が落ちません。初夏になってきて新芽が出ると、入れ替わるように、葉が落ちます。このように、絶えることなく受け継がれることから、男の子の成長になぞらえて、この葉を「柏餅」として出たばかりの葉を餅でくるむのですね。今はもう立派な葉が茂っています。
こんな緑のトンネルを歩きながらの今の楽しみは紫陽花です。
思うに、今、紫陽花の季節、ジャックの利用する井の頭沿線は、都内でも有数の紫陽花路線、ライトアップが始まった箱根登山鉄道も、そして例えば紫陽花寺といわれる鎌倉・長谷寺など、花の名所があります。紫陽花に限らず、花の名所というものは、大量の花々が咲き誇っている、というのが、もちろんウリ。確かに見事なのですが、私の通勤路の紫陽花を見ていて、少し考えがかわりました。
一株の花、そこに咲いている一輪の花を間近に見ることこそが、最もその花の美しさを堪能できるのではないか、と。私の通勤路には、道端に、また、通り過ぎる民家の垣根近くに、紫陽花が見られます。所々に、フッと現われるので、意表を突かれる楽しさもあるのです。歩いていく順に、ご紹介していきましょう。
●並木道の入り口、初回の通勤路でも紹介したイタリアレストランの敷地にある紫陽花。赤いレンガに白と青の星が生まれたよう。
●道路の真ん中、木の周りに無造作に植えられている紫陽花。私が歩く中で、一番好きなもの。一輪ずつが紫のグラデーションを作っているよう、少しずつ色が違います。
●上の花と同じような花びら、低いところにあるのでうっかりすると、見過ごしてしまいそう。
●石垣で囲まれて、花壇が作られている紫陽花。寄せ植えされているようで、花の数が多く美しい。
●いちばん若い株でまだ咲ききっていません。そのせいか、黄色の紫陽花みたいな、不思議な色合いをみせています。もうすぐ青くなっていくのでしょう。
●散歩道の終わり近く、民家の塀を越えて咲く紫陽花。最も高く、広がって見事。
●散歩道を過ぎて、仕事場に近い民家の紫陽花、珍しくピンクの花びらです。 |