ジャックの記事 |
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石榴 ざくろ
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血の味と その色赤き 石榴かな
ジャックが子供の頃、葛飾の実家には大きな石榴(ざくろ)の木がありました。大きな、というのは子供の頃に見上げた感じでしたが、3メートルくらいの高さだったのではないでしょうか。梅雨の終わり頃から真っ赤な花が咲いて、花の色が茶色に、枯れたのかと思われるとしばらくして、実をつけ始めます。
11月に入ると手のひらに余るほどの大きさになり、やがて実が割れて、中から薄赤い実が見えてきます。とうもろこしのような実で、白い実が熟してピンクになってくると食べごろです。実を取るのは、とうもろこしの実をとるのと同じ要領。20粒くらいを一塊に口に放り込みます。
中身の種は食べられませんので、くちゅくちゅ噛んで、はきだします。このかんだ味は、冷たく少し甘酸っぱく、当時ジュースなどの飲み物などまだ無いころには、格好のおやつになっていました。
この噛んだ後の種を吐き出す時に、その辺りに、ペッとやったのを母親に見つかって、よく怒られたものでした。
後日、はるか後日になって、この石榴の味は、血の味がする、となにかの書で見ることになりました。当時は、もちろん、そんか感じは全くありませんでしたが、そういわれればそうかな、と、最近では全く味わうことの無くなった石榴の味を思い出すことになりました。確かにあの頃、道路は砂利道、外で遊ぶことの多かった子供たちは、よく転んで、膝やひじをすりむくことがありました。
膝の傷跡のかさぶたが乾ききらない内にまたすりむく、といったようでした。あの頃は、傷絆創膏、なんてありませんでしたし、みんなは、傷が出来ると一様に、傷をなめたものです。それが万能薬のように、傷をなめていました。動物の仲間だったのですね。
ところで、我が家の石榴の鉢植え。10年ほど前、浅草の植木市で見つけ、とても懐かしくて買ってきたものです。
一昨年、花付が悪くなって、もうそろそろ土を入れ替えねばと、鉢も大きなものに変え、土もすっかり入れ替えたのですが、ジャックの性格が移ってしまったのか、天邪鬼にも程がある、何と、一ヶ月程で枯れてしまったのです。
たまたま、この鉢を他に使うことも無く1年ほどもほったらかしておきました。昨年の秋に枯れ枝を始末しようと、土から引き抜いたところ、根が生きている部分があり、枯れたところを除いて、植え戻しておきました。
それが今年の春先から、急に枝が伸び始め、丈ものびて、花芽が就き始めたのです。
“なんなんだ、こいつは”です。そして、見てくださいこの赤い小さな花。気の短いジャックが、枯れ枝を見て捨てなかったのがふしぎなくらいの復活でした。
残念ながら、実を付けたのは三つだけでしたが、割れて、一粒でも齧ってみられるか、楽しみにしています。
●これは我が家の近くにある石榴の樹。テニスボールほどの実になっていました |
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