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仏前に シンビジウムの 白き貌
ずいぶん前の話。イラストレーターの先生のお宅に原稿を貰いに行ったときのこと。陽の当たる縁先に、大きな蘭の花の鉢が二つ。園芸好きの私、花の話になりましたが、先生の話では“なに、これは陽の当たるところへ出しておいて、適当に水をやっていれば、こうやって花をつけてくれる、手のかからない蘭ですよ”とおっしゃっていた。
私はいくつもの鉢植えを育てていましたが、こと蘭にはほとんど興味がありませんでした。先生の話を聞いて、一つくらいやってみようかと、もうどこで買ってきたのか覚えていないのですが、種類の違う鉢を二つ。言われたとおり、陽のあたるところへ、適当に水遣り、冬は室内、何年か経って、初めて花をつけて。
という歴史をたどると、鉢を買ったのは10前どころじゃありませんでした。毎年数本の花が楽しめて、やがて花がつかなくなって、これは鉢も、土も入れ替えなければと、一念発起。ところが根が張って抜けません。ついには藍色の陶の鉢を壊す破目に。株分けしようと思った根も、ナイフでは刃が立ちません。乱暴でしたが鋸で切り分ける按配。こうして、鉢が四つに。
毎年また数本の花芽をつけるようになりましたが、前回と同じように、株が鉢一杯になってきて、ここ2~3年は、一本花芽が出ればいいほう、という始末。株分けしなければならないのですが、手間を考えると二の足を踏む状態。花芽が付けばもうけもの、という横着加減でした。
そして今年、なんと一鉢だけでしたが、3本の花茎が。白のシンビジウムです。いままでも、蘭の花は、蕾が全て開いたところで仏前に飾っていたのですが、久しぶりに左右の花入れに飾ることが出来た次第。
これは、もしかして、今年こそは、きちんと株分けをしなさい、というサインだったのかもしれません。ここ久しく買っていない鉢を買うのも楽しみになるかもしれません。
ところで、この写真、三本の花茎の内、二本はご覧の仏壇へ、そして残りの一本はご覧の、あったらしい花瓶に入れたました。自慢するこたない、実は数日前、玄関にあった黒のおばあちゃん愛用だった花瓶、私引っ掛けて落とし、割ってしまった。ユフィ、複雑。私、何とか挽回を。たまたま今日、渋谷・東急東横店で「アンティーク展」開催、買うつもり無かったんだけど、ちょっと冷やかしで覗いたら、いい花瓶があるじゃないですか。もう、お詫びの印はこれっきゃない。清水ほどじゃないけど、我が家の5段の玄関から飛び降りたつもりで、買っちゃいました。
白いシンビ、映えているでしょ。
そういえば、ここ数年、ぐい飲みも買ってないなあ。
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