イメージは冬 でも開花は春
なぜ冬のイメージがツバキにはあるのか。
歌謡曲の「雪椿」とか、「寒椿」とかの連想のせいなのか、寒い中で凛と咲くイメージが強いからか?
木偏に春と書くように、文字通りの春の花らしいのに…。
花期は3月から5月、冬の12月から咲く種類もあるようだ。
品種が非常に多く、花色や花形、花の大きさも千差万別で、日本全国にその土地にあった椿が存続するとか。
ちなみに「寒椿」は、ツバキ科のサザンカと言うややこしい種類で、開花時期は11月から翌年の2月初旬まで。
山茶花と見分けがつかないし、学名的にもほぼ同じだとか。
ただ、ツバキとは違って、横方向に伸びるので背丈は低いらしい。
濃い紅色の花は、1枚ずつ散るので、一輪落ちる椿とは別品種のようだ。
ジャックとユフィは、この「カンツバキ」を巡って言い合いをしたことがあり、「ツバキだと言われて買った」とジャック、「散り方がサザンカっぽい」とユフィ。
結果は『ツバキ科のサザンカで花名はカンツバキ』と言うことで、ややこしいが決着は引き分けかな?
さて、絵のツバキの蕾は、何の種類かは分からない。
なにしろ鉛筆書きの日付のサインが「98,12,25」となっていてるのだから、とっても古い絵だ。
習い始めた年の暮れだったのだろうか。
小品だから1日で描いたのだろうし、かなり蕾が固いから、早咲きの種類ではないだろう。
蕾の顎は、一枚ずつ丹念に観察しながら描いたようで、枝についている部分から花の先まで、しっかりと色合いが違っているのが分かる。
濃い目の緑から、黄味を含んだ軟らかい淡緑までと、チラリと覗いた桃色の花びらが、とても初々しい。
顎(ガク)が何枚にも長く重なっているので、花弁の先しか覗いていない。
一重や八重のような咲き方なら、顎はもう少し少なくて丸い形になるはず。
この割と長い蕾の形は、推測だが「筒咲き」系統のように思える。
この顎の重なりの感じが、写真の筒先のピンクの花によく似ているようだ。
もう一枚のピンクの蕾は、丸い形をしているから違うのだろう。
そして、葉の描き方なのだが、絵で見ると全てが濃い緑一色で全く趣が感じられない。
調整して、葉脈が感じられる程度までは色味を加減してみた。
ツバキの名の由来でもある「艶葉木(ツヤバキ)」は、濃く艶のある葉っぱから来ているのだとか。
葉脈は鮮明ではないが、縦の線はしっかり見えるし、縁の細かなギザギザもよくわかる。
しかし、何本か近所のツバキの木を探してみたが、この葉のように細長くギザギザが細かなものは見つからなかったのだ。
もっと艶を出すように描いてもよかったと思うが、葉脈の筋を出すことに必死だったろう初期のこと、こんなものかも知れない。
この写真のために近所を散策し、改めて20年近くの間に家並みが変化して、古い家々が新しく建替えられ、椿の木々も減ってしまっていることを実感した。
淋しい限りではある…。 |