やましたさんちの玉手箱
ユフィの記事
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11月 晩秋の宝石は ムラサキシキブとバラの実

美しい紫の実を愛でる

晩秋の一枝

この実との出会いは50年近くも昔、中学生時代のこと。
生物部で野を歩き、植物を探す遠足をした際の思い出の実だ。
当時、古典こそ読んではいなかったが、『源氏物語』の筋は知っていて、同部内の女子達でニックネームを付け合っていた。

「葵」「玉鬘」等々、自分の好きな性格的に似通ったネームは、今思えば少女臭い青い記憶に過ぎない。
なにしろユフィは「紫」だったのだから、恥ずかしい限りだ。
その時に初めて見たのが「ムラサキシキブ」だったのだ。

長く垂れた枝先、びっしりとついた小さな実は美しい紫色。
生物部の顧問の先生に教えてもらった名前が、一発で記憶されたのも、上記のような理由があったから。
植物に「ムラサキシキブ」という命名も珍しいが、リサーチによると「ムラサキシキミ」が元の名らしい。

「シキミ・樒」とは、字のごとく実をびっしりとつけるところからの名のようだ。
その紫の色味が、源氏物語の作者「紫式部」を連想させて、「ムラサキシキブ」になったという説も…。
山野に多く、植物園などではあまり見かけない、と記されている。

この絵の「ムラサキシキブ」は、ジャックに頼んで買ってきてもらった鉢植えのもの。
あまり勢いがなく、実も少なめなのは、株が若かったからだろうう。
鉢植えの消えてしまう運命は、この「ムラサキシキブ」にも例外なく起こってしまい、現在はない。

今回の季節の絵のために、近所の庭を探し回った結果、3軒で見つかった。
晩夏に見つけた毎年楽しみにしているお宅のものは、花が終わりかけていて、実はまだ青いし小さい。
花は気づかないような淡い紫で、散房花序と呼ばれるもののようだ。
やはり花を愛でるよりは、実を楽しむものなのだろう。
10月も半ばになり、偶然見つけたものは、塀を越して沢山垂れ下がっていた。
青い実と薄紫の花の一枝 10月の若い実の一枝

50年前の記憶では、栽培種ではなく野生種だったためか、もっと野趣に溢れたもののように記憶している。
どちらかと言うと、絵の貧弱な枝に近かったのではないか。
写真の栽培種であろう「ムラサキシキブ」は、勢いもあり背も高く、紫の実の色もまだ緑色から紫に変わりつつあり、しっかり紫に色づいたものもあった。
塀から垂れ下がる

葉が濃い緑色なのも、まだ秋の深くない証拠。
絵のものは葉も黄色みが増し、茶色に変色しているから、11月に入っていたのだろうか。
サーヤの友人が気に入って、カラーコピーしてあげた1枚だ。

画面を斜めに延びる枝は細く実も小さいが、1枚1枚の葉は全て少しずつ色を変えてある。
紫の色味は、なるべく実物に近づけたつもり。
写真のものよりもずっと濃い紫色で、晩秋の趣が強い


別名はローズヒップ
ノイバラの実

絵のものは「ノバラの実」のようだ。
どこで採取して描いたものか、すっかり忘れている1枚。
「バラの実」ということは、覚えていたことと、教室での絵ではないことは紙質で分っている。

旅行などに携行していった、画集帳の大きさだから…。
町内でのバラの実探しは、「ムラサキシキブ」よりも困難だった。
リサーチによると、実を残すことでバラの木が弱る為、実は摘んでしまうのだという。

写真のものは、散歩途中でビルの玄関アーチで見つけた実なので、野バラではないかもしれない。
実の一つ一つが大きく、絵のもののようにくっついていない。
頭上に広がるバラの実
オレンジの実

リサーチでは、「野茨・ノイバラ」として出ていて、絵と同じ状態なので間違いはなさそう。
5月頃、「白やピンクの花が咲き、秋に真っ赤な実をつける」とある。
ネットの写真は赤というより、絵と同じようにオレンジが強いように見えるのだが…。
これから赤くなるのだろうか。

「ローズヒップ」の名は、ヨーロッパ産の野生のバラの実を言うそうだ。
美容や健康に効果的で、女性の関心も高いらしい。
北海道の名産として知られる「ローズヒップ」は、日本原産のノバラ「ハマナス」の実を指して呼んでいる。

ビタミン・ミネラルが豊富で、特にビタミンCはレモンの10倍とのこと。
美肌効果や免疫力アップに有効らしい。
バラの実からオイルを抽出し、赤い外皮はハーブティーとして利用できるという、観賞用以外にも力を発揮する花だ。

そう言えば。ユフィの絵にはバラが1枚もない。
花びらの多い、描く手間暇のかかる花だからだろうか。
実はその点、葉もないし枝先に実だけで、描きやすかったのだろう。
苗:紫式部
苗:紫式部
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