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鮮明なインパクト!京極夏彦コミック化「魍魎の匣」
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(※上記のリンク先は電子書籍用です、コミックス本のリンク先は記事の一番下にあります)
作家・京極夏彦氏をご存知ですか?
妖怪をテーマにしたミステリーで有名な小説家です。
実はオカルトとミステリー・推理ものが好きなサーヤとしては、ずっと前から気になっていた作家でした。
…ずーーーっと前から、気になっていたのに、ずーーーっと手を出せずにいました…
なぜって、一作品の本がブ厚いからです(汗)もともと活字は苦手なので読むのが大変そうだ…と敬遠してしまっていたのですね。
でも、いい加減に読まなくては!
…と百鬼夜行シリーズの長編第一作である「姑獲鳥の夏(うぶめのなつ)」を手にして読んでみました。
………うん、大変だった………
後で知ったのですが、ファンの間でもこの第一作は冒頭が難解・退屈で読むのが大変ということで有名だったのですね(汗)
ユフィ母もこれに興味を持って私の本棚から持っていったのですが、「最初の所でもうダメ」とすぐに返されました。子供の頃に江戸川乱歩と横溝正史にハマっていたユフィ母なのに。
私は頑張って読み通し(汗)、このままの勢いで第二作も読んでみたいと思って次に手にしたのが「魍魎の匣」でした。
「魍魎の匣」も読んでみようと思ったのは、テーマが入り込みやすいものだったからです。
匣に入っている少女の物語、二人の少女の奇妙な絡み、何かを秘めている女優、連続バラバラ殺人事件。
このテーマなら、あの難解すぎる京極夏彦氏の小説も何とか読めるだろう…と…失礼、でもこれが正直な気持ち…。
やっぱり正解でした!
「魍魎の匣」はストーリーが理解しやすく、一気に読めました。それでいて、「えっ、えーっ!」と驚きの展開に夢中になれました。
推理としての難度も適度で、色々な意味で「京極夏彦氏の作品への入門書」かなと思います。
その「魍魎の匣」がコミック化するということに!
しかもあの志水アキ氏!ゲームのコミック化「幻想水滸伝III」を読んだことがあって、なかなか雰囲気のある絵を描く人だなと知っていたからです。
さて、あの作品がどのように漫画となるのか、ワクワクして読んでみると…予想以上に素晴らしい出来でした。
一般の女性漫画家は、キャラ描き分けが苦手な傾向があるんですね。男性キャラとなると似た雰囲気になりがちで…あの百鬼夜行シリーズの登場人物を描けるのか?と心配だったのですが、すごい…と思うほどの出来でした。キャラの一人一人が、原作そのままのイメージで表現できており、かつ強烈な個性を出しています。
あの陰気なキャラ関口…そのまんま過ぎて、何かかわいそうだからもう少し良く描いても…と思うくらい(笑)
木場刑事そのまんま!敦子ちゃんぴったり!脇キャラたちも味わいある仕上がり。
主役の京極堂は無愛想な性格はそのままですが思ったより表情豊かで、原作より親しみやすくなりました。
唯一、意外だったのは変人探偵・榎木津が美麗キャラだったこと。でも薔薇十字探偵社というネーミング(笑)の人だから美麗キャラで正解?
あの凄惨な連続殺人事件や、加奈子や陽子という美しく哀しいヒロイン、頼子というマイナス要素の強い少女、醜悪な頼子の母親、「匣の中の娘」という劇中劇…。
半年一冊の発行にジリジリ待たされ、二年半かけて最終巻まで読んだ一言は
「よく描けたなぁ…」
あの複雑な伏線が絡み合っている事件を、こんなに判りやすく強烈に表現できたなぁ、と心底感心しました。原作をよく熟知し、理解していないと描けないと思いますし、漫画として判りやすく構成するのも難儀だと思います。
絵がキレイで雰囲気があり、構図や演出などの見せ方がとても上手いです。一つ一つの展開が脳裏に焼き付けられました。
少女マンガなのに劇画なタッチの絵柄が原作によくマッチしてますね。
小説でストーリーを知っているのに、ドキドキハラハラしながら読んじゃいました。
これは志水アキ氏のコミック化で大正解だったと思います。
京極夏彦氏の小説に興味があるが、あのブ厚い小説を読むのは大変そうだし時間がない…な方にはオススメです、漫画「魍魎の匣」全5巻。
ただ。連続バラバラ殺人事件というテーマなので、漫画化となると、ええ、まぁ、絵的なインパクトもありまして…いやある程度オブラードに包んでいるのですが、あるシーンが強烈過ぎて…。
お子様にはオススメできません(汗)
というか、この百鬼夜行の長編シリーズって、「狂骨の夢」までしか小説を読んでないのですが、どれも陰湿・凄惨・猟奇的な事件なんですよね。
横溝正史の小説も読みましたが、あれよりもっと精神的にくるものがあるというか…。
それはそうです、人の心に巣食う「憑き物」を払い落とすのがこのシリーズの主人公の仕事ですから、病んでいるキャラばっかりです(笑)
この志水アキ氏による漫画化は「狂骨の夢」も出ていますので、今度それも紹介したいと思います。
今はあの狭すぎた門の「姑獲鳥の夏」を連載中だそうですよ。 |
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