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夏の夜を涼しく…純和風ホラー「零」シリーズ
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任天堂 (2012-06-28)
売り上げランキング: 340
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やっぱり夏といったらホラーですよね。日本の風物詩の一つです。
やま玉サイトにマニアックなゲームコーナー、しかもホラーを載せるのはどうかなーとは思ったのですが、何でもありがモットーのやま玉なので、これもアリということで書いちゃいましょう。
(不思議なことに、この記事を書いた当日、ジャック父が墓参りで狐に化かされた記事を書いていた…ワタシそんな事知らなかったよ。こちら→「八柱霊園 お盆の墓参り 狐に化かされたホントの話」)
なるべくゲームに関心のない人でも、記事を読むだけで楽しめるように書いてみます。
さて…世界に誇れる日本の近代娯楽文化といえば漫画やアニメですが、それにゲームも加わります。
さすが技術大国の日本、ゲームの出来も年々素晴らしいものになっています。映像もすごくなってきて、半分映画を見ているような気分になるほどです。
なので、ゲームに関心ない方も、記事を通してその片鱗を見ることで日本の文化の一つをぜひ感じてくださいませ。
特に、日本の文化をこれでもか!というほどに表現した純和風ホラーの「零」シリーズはぜひ知って欲しいところ。
もしゲーム好きの外国人が身近にいたら、「これが日本のホラーですよ」とオススメして欲しい。
これまでにも、和風ホラーのゲームは幾度も出てきていたのですが、出来はいまひとつでした。洋風ならともかく和風ホラーをゲーム化するというのは難しかったのでしょう。
それが、2001年に「零~zero~」というゲームが登場し、大ヒット!
さすがに10年以上前だけあって、今から見ると映像的には古くキャラデザインが固い感じがしますが、当時は非常にレベルの高いクオリティで度肝を抜かれたものです。
というか…怖かった…怖すぎた…
序盤だけで「ごめんなさい、もうお家に帰るぅ!」と叫びたくなるほどの恐怖でした。
純和風ホラーというものが、こんなに怖いものだったとは…
洋風の家って、広々とした感じで石造りだからなのか、あまり閉鎖的な息苦しい恐怖はないんですよね。何かが出ても「おぉっ、出たぁ!」という感じですし、全力疾走で逃げられそうですよね。
でも、古い日本屋敷のキシキシとする木造の廊下、ギィィと鳴る引き戸、美しくデザインの凝っている障子、裏の空間が見えない屏風、意味ありげに隙間が開いている襖、なぜか開かない戸、妙に汚れている布団、吊るされている着物、妙な位置に置かれている日本人形、廊下が狭く間取りが複雑なので逃げづらい閉塞感と圧迫感…、実にホラー要素がいっぱいで舞台だけでも怖すぎて逃げたいくらい。
しかもこのプレイヤーが操作する主人公、女の子で恐る恐る探索する設定だからなのか、足取りがもう遅いんですよ。ソロソロと歩くし、逃げるにも恐怖で強張っているみたいに小走りでトトト…としか走れない。このもどかしさとリアリティがさらに恐怖を煽ってくれる。
もうドッキドキビクビクしながら突き進むので何かが出たときは「ギャッ…」と心身ともに凍ります。実際、ゲームのリモコン持ちながらビクッとしたり固まってしまったりが多々でした。人間、ほんとうの恐怖に遭遇すると硬直しちゃうんですよね。
洋風ホラーのゲームだと、たいていがゾンビとかだったりで、射撃すれば倒せます。
でもこの「零」シリーズでどうやって対策するかというと、一つは「とにかく逃げる」。もう一つは「写真を撮る」。
レトロなポラロイドカメラに撮ることで除霊させるのですが、これがえらく怖い…カメラを構えて覗き込み、霊が怖い形相して迫ってくるところを撮らなきゃならない。
霊を遠くから撮ろうとすると、効果が弱くて倒せない。確実に除霊しようとしたら、間近で撮らなきゃならない。しかもフィルムの枚数制限があって、無差別に撮れない…この絶妙なジレンマ。
この撮影した画像が、写真データとなって記録され、いつでも閲覧できるという(笑)「心霊写真」というアイデアがなんともニクイですね…。
あと、やはり純和風ホラーといったら、「祭り」です。
日本の祭りは、神様を崇めたり鎮めたりするもの。
その日本の神様は、荒神もいて、それを鎮めるための祭りも沢山あります。
言い換えれば、荒神=怨霊ですよ。学問の神様の菅原道真も怨霊化したのを鎮めるために社を建てたことが由来ですし。
そして、やはり「零」にもありました、恐るべき「奇祭」というものが。
この奇祭の設定が、もー怖い怖い。やはり奇祭がなくっちゃ、日本のホラーじゃありませんね!宗教的要素も絡めてこそ文化的ホラーです。
当然、そんな設定なので、出てくる怨霊はほとんどが古い時代の人、着物を着ています。それでこそ幽霊!ってもんです。
ちょっと個人的に嬉しいのが、苦しんで死んでいるから着乱れてるのか、女の怨霊が胸元や足などをはだけたりして少し色っぽいところですかね(笑)
あと、様々な怨霊に遭遇してみて認識したのが、男の怨霊って(慣れると)案外怖くない、女・子供の怨霊ってものすごく怖い…ことでしたね。
実際、どのシリーズでもラスボスは女の怨霊です。
この「零」シリーズは怨霊が出てくる恐ろしい出来事が起こり、主人公がそれを探索し調査することで、その起因となった奇祭を暴き出し、これ以上の悲劇を起こさないために鎮める…というのが「零」シリーズを通したゲームの目的です。
そして、最後に純和風ホラーとして欠かせないものは、「哀しく美しい結末」です。
敵をバッタバタと殲滅し、ラスボスを倒してスカッとする洋風ホラーとは違います。ホラーは本来は哀しい出来事や要因があって起こるものなので、その結末もあまり爽快なものではありません。やはり切ない終わり方で、「これぞホラー」と納得しちゃうものなのです。
さて、その「零」シリーズは現在、主に4つの作品があります。初回作から順に
「零~zero~」
「零~紅い蝶~」(PS2版) 「零~眞紅の蝶~」(Wii版)
「零~刺青の聲~」(PS2版)
「零~月蝕の仮面~」(Wii版)
となっています。
このうち、サーヤがプレイしたことがあるのは、初回作と「紅い蝶」です。
この中で、おすすめするのは「紅い蝶」または「眞紅の蝶」です。
どちらも内容は同じなのですが、後者はWiiへの移植による改訂版なのでエンディングが追加されたりしています。
ハードが異なるので、使える方をお使いください。
なぜ蝶のほうを勧めるかというと、ストーリー性が高く、美しく妖しい雰囲気があるからです。
主人公は双子の女の子で、雑木林に迷い込んでしまい「地図から消えた村」に入る。そこで姉が次第に憑りつかれて病んでいき、妹が姉を恐れながらも助けて村から逃げようと奮闘することで物語が進みます。
怨霊の村に居て心細いのに、唯一の味方である姉が徐々に病んでゆく状況は色々な意味で怖すぎます。怨霊という外因と、精神汚染といった内因のダブルパンチですね。
しかも双子がゴシック調の服を着た美少女で妖しげな雰囲気も見せてくれるので、怖くて綺麗だ…という奇妙な感覚がまた良いですね。(白髪の美少年も出ます)
また日本の歴史でも双子は忌み嫌われている話があったりするので、ゲームの「奇祭」に双子が必要である…という設定が、雰囲気を盛り上げてくれます。
あと、PS2版では2つのエンディング(バッドも含めると3つ)、Wii版ではさらに3つのエンディングが追加されているので、そのどれにたどり着くか、不満なら気に入るエンディングのために奮闘するなど、やりごたえもあります。
こちらに、蝶の紹介映像(動画)がありますので、ぜひ見てみて雰囲気を感じてください。
5分46秒です。
(以下の画像の真ん中にある再生ボタンを押してください、一番下の赤い横線バーが進行状況を教えてくれます。)
あと…やはり一番大事なのは、ゲームとしての難易度ですね(笑)
初回作「零~zero~」は難易度が高くて、クリアするのに相当苦労したのですが、蝶の方はわりと優しいので人にすすめやすいです。
初回作は難しいのですが、恐怖度数でいったらダントツなので、チャレンジャーには初回作をオススメします。
興味はあるがゲームをやるヒマはないよ…という方は、初回作「零~zero~」のオープニングから中盤までのムービーを集めた動画がありますので、こちらでお楽しみください。
16分の動画です。
夜に部屋を暗くし、PCの前に座って、音がよく聞こえるように調整しましょう。(再生ボタンを押してしばらく間がありますが、そのままお待ちください)
さあ、夏の夜を涼しくお楽しみください……
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