湯豆腐を味わうには絶好の天候
2月の初午の日の午前中、八坂大社でご祈祷を受ける。
雪こそ降らなかったが、本殿に入る行列が長くて裏まで回ったほど。
初めての経験で「参ったなあ」状態の2時間近く、ビニールの囲いの中でぎゅうぎゅう詰めにされ、隙間風の寒さに耐えながら待った。
祈祷に更に1時間半、慌しく神棚を購入して宅配にしてもらい、南禅寺までタクシーを飛ばす。
世田谷も狭い一方通行が多いが、京都は更に細くて狭い裏道を行く。
バスや電車では分からない道、京のタクシーならではの交通だ。
時間はすでに午後2時近く、道もお店も空いていたのでラッキーだった。
お昼時だったら満員で、かなり待つことになっただろう、予約はできないし仕組みだし…。
趣のある門構えの脇には、お土産屋さんがあって待合室も兼ねているみたい。観光地だよねえ。
京都は水質が良いので「豆腐」が美味しいとのことだが、なぜか南禅寺界隈には「湯豆腐」のお店が多い。
ネットで調べたとき「湯豆腐セット」しか扱わない老舗もあり、経験から三人同じセット料理では面白くないし、絶対に食べきれないと判断した。
そして昨夜の京都・二条城近くの居酒屋「にのまる」での食事から、全員セットメニューは食べないことで了解。
順正では、こだわりの国産大豆を使った味わい豊かな豆腐を、旨味を十二分に引き出す特製のたれで食べる湯豆腐が、江戸時代より有名とか。
湯豆腐の他に「ゆばセット」もあり、自分で目の前の鍋から作るゆばは特別な味わいだろうと思うが、ユフィはなぜか湯葉が苦手。
「おてまえ豆腐コース」では、出来立ての豆腐がセットされるらしい。
室内はテーブル席で、高い天井と障子がおおらかな雰囲気。
お面が飾られているのも京都らしいし、昔の雰囲気がいっぱいだ。
注文には、まずは「湯豆腐が食べたい」と希望のジャックには「湯豆腐セット」。
ユフィは「豆腐丼セット」で、サーヤは一品メニューから「おからコロッケ」を選択。
湯豆腐セットには、「田楽」「胡麻豆腐」「焚合(煮物)」「豆乳」「天麩羅」が、季節の味わいとして付いてくる。
これらの味わいは、ジャックには苦手なものが多いので、湯豆腐さえあればよいのだ。
それでも大鍋にどおーんと豆腐が出てきたら、全部は食べられないのだから…。
なにしろ豆腐の一切れが大きく、食べ応えがあるのだ。
豆腐が大好きなジャックだが、自慢のたれでも飽きてくる様子。
テーブル席の他にも「上がりかまち」があり、なんだか訳ありな二人連れが仲良く湯豆腐を囲んでいて、気になったし…。
すごく若そうな今時の女性が、湯豆腐囲んでおじさんと食事って気になるよね。
余計なお世話だけど…。
ユフィの「豆腐丼」にも、セットメニューでいろいろ付いてきたし、思いがけず美味しかったのだ。
小鉢はサーヤと少しずつ分け合い、「おからコロッケ」もひとつずつ分け合って、ボリュームがありしかもくどくない味で満足する。
「湯豆腐セット」は「豆ご飯」付きで、全てを一人で食べると満腹以上になりそう。
適当に分け合って食べて、丁度良い量だった。
最後にデザートもちゃんと付いてきた。
「京野菜」を模したカステラ風の小さなもの。
なんでも良いから甘味があれば言うことなしだ。
ちょっと遅めの昼食は、待たなかったし丁度良い量でお値段も予定の範囲。
ゆっくりできたし、順番待ちの間に散策する庭も、食後の腹ごなしには最適。
テーブル席の他に、大勢が食事できる座敷もある。
ジャックの兄姉達と京都に旅した際、利用したのはこの座敷だった。
なにしろ大人数だったので、ちょっとした団体みたいな旅行だったっけ。
そんな思い出が、親子三人だけの京旅行に花を添えてくれた。
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