やましたさんちの玉手箱
ユフィの記事
読切
Powered by fun9.net
TOP > 外出 > 外食

夏目坂で見つけた天ぷら割烹・髙七

彼岸の墓参りの昼食はここに決めた!

春の彼岸明けの日、ジャックとサーヤの休みの日が重なって母のお墓参りに。
渋谷からお寺の門前まで、バスで行けるので、女性達には人気の路線。
ジャックは発車時間まで待たなくてはならないのと、40分乗っているのがいやなのか、地下鉄で乗り換えて行きたがる「へそ曲がり」だ。帰りは「地下鉄で1人で帰る」と言っていた。

お墓参りの後の昼食で、角のトンカツ屋に寄るのが楽しみな女性達、
バスの時間も昼食時間に合わせて調べるので、ジャックに「ばちが当たる」と怒られた。
夏目坂の途中にあるお寺、近くには高級な蕎麦屋とこのトンカツ屋くらいしかなく、坂下は早稲田大学に近いので学生食堂が多く、ゆっくりと食事のできる店が少ない。

蕎麦屋は美味しいが、お墓参りの客で混むのが難点。
角の小さなカウンター席のトンカツ屋は、安くて味が良いので、ここ3回くらいは贔屓にしている。
近所のお寺で枝垂れ桜を堪能した後、向かいの角の店が閉まっているのに気づいた。
「しばらく休業」の張り紙が…。
「親父さん、倒れたかな」とジャック。そうかもしれない。
老夫婦二人で切り盛りしていたようだから…。

さて、バスの途中で見つけておいた「天ぷらの店」に向かうことにする。
蕎麦屋とトンカツ屋と、そしてこの天ぷら屋が、この夏目坂では目をつけていたところ。
貫禄ある外の看板

先に坂を上ったサーが、店の前で何かを見ている。
ウィンドーに金魚鉢が、中には「沢蟹」が数匹動いていて、サーヤには珍しかったらしい。
昔風の金魚蜂に沢蟹

まだ、11時半を少し過ぎたところで、入ると左のカウンター席はいっぱいで、右と奥の座敷が空いていた。
すぐ次に続いていた赤ちゃん連れの若夫婦と右奥の席に着く。
そして、次々に客が入ってきて、あっという間に満席に。
座敷の半分は「予約席」とのことで、それ以降の客は入れなかったみたい。

早く注文しないと、忙しくなりそうなので、ともかくも注文する。
まずはビール、銘柄を4~5種類言われてジャックに任せ、ついでにお酒も常温で注文。
ビールは中瓶で今時珍しくハカマ付き、コップはギンギンに凍って出てきた。
そして、お酒は一升瓶でお皿付のぐい飲みに注いでくれる。
もう、これだけでもお酒好きのジャックにはたまらない。
冷えたコップにビール、下皿付きのぐい飲み

お膳は1人ずつで、香の物、塩、天つゆが先に出る。
ここら辺で、やっと店の中を眺める余裕が出て、歌舞伎の飾り物などに目が行き、そして暖簾の「創業明治17年」の文字に気づく。
やっと、今の状態に納得がいく。
老舗も老舗。百年以上の店だ。
最初のお酒で、もう店の格がわかろうと言うもの。

さらに、ものすごく忙しくなった店には、小太りのテキパキしたお姉さんが1人だけ。
厨房には何人かいる様子なのだが、1人で全部采配していて見事。
「忙しいのに悪いかな」と思いつつ、聞くことには全部丁寧に答えてくれる。
塩は緑色が煎茶、白はモンゴル塩。
えっ、モンゴル?「天ぷらにはモンゴル岩塩」我が家と同じだ。
抹茶塩でなく、煎茶塩というのも「いいんじゃない」
天つゆには、多分大根の「鬼おろし」と「生姜おろし」だろうと思い、聞かなかった。
鬼おろしは、粗い目のおろし器でおろしたもの。
香の物、煎茶塩とモンゴル塩、天つゆ

そして、ジャックの注文した「いか天丼」が来る。
「つゆが足りなかったら言ってください」と言うその天丼、「右にあるのはみみ、手前は足」と説明つき。
通常の店のつゆとは違っていて、白っぽくて目立たないが、味はしっかりだった様子。
そして、酒のつまみにしていたジャックが持ち上げたのが「蛍イカの天ぷら」。
「いか尽くしの天ぷら」なのだ。いか大好きジャックはもう大感激。
イカ尽くしのイカ天丼

そして、ユフィの頼んだ「天ぷら盛り合わせ」が来た。
「魚が2種類、ししゃもにキス、野菜はナスにサツマイモ、大根」とのこと。
大根?初めてだ。ししゃも?天ぷらには珍しい。
1センチの厚みのある丸い大根の天ぷら、しっかり歯応えがあって美味しい。
ししゃもも、苦味がなんとも言えない。
ウーン、これは参った、と思っていたら、サーヤの海老天定食が届く。
天ぷら盛り合わせ、大根が珍しい

「こちらは普通の海老、右は車えび、左は脱皮した海老」と言う説明にまたまたびっくり。
3種類も海老が乗っていて、しかも2匹ずつという豪華版。
6本盛りの海老天

普通は3~4匹じゃないのか、脱皮したての海老や車えびは使わないだろう!
しかも箸休めの「ふりかけ」も付いている。
その上、ユフィには「飲んでいらっしゃるので、ご飯は後にしました」とちゃんと言ってくれた。
角盆にいっぱいの海老天定食

もう、家族全員が「参りました」の一言。
老舗の味万歳、お姉さん天晴れ、その上「値段が安い」と言う三拍子で大満足。
これだけ食べて、飲んで、5千円未満。
会計もきちんと説明してくれました。ありがとうございました。

気分良く外へ出たら、7、8人が店の前で待っていて「ジロリと睨まれた」とジャック。
「常連だったらしい」 自分たちが入れず、イライラしていたのだろう。
もちろん、ご機嫌なジャックは帰りもバスに付き合うことに…。
そして曰く「一流のホテルなどの天ぷら屋でも、ここの味とサービスには敵わないだろう」
私も納得。すごく良いお店を見つけられて、毎年のお墓参りが楽しみになってきた。

ただ、ひとつだけ。困ったことが…。
膝が痛くて正座ができないので、カウンター席の予約が取れるか、どうか?
サーヤが一言の元に「ユフィだけ椅子席予約すれば」と言う。
えーっ、そんなことできるのかな? できても別々の食事は?
秋の彼岸までに考えなくっちゃ。


★後日追加
秋のお彼岸にも行ってきました

今年の彼岸の入りは暑かった。30度あって、しかもかんかん照り。
春のお彼岸には超満員だったので、前日予約しての11時半入店。
12時半までの食事時間の間、誰もお客が来なかった。
ま、のんびりゆっくりで良かったけれど…。

春はまだ膝痛が完全に治ってはいなかったから、変な体勢での座敷の席で、後日痛みが出て大変だった。
ということで、カウンター席をとってもらったので、調理場がよく見えるし話も出来る。
サーヤが興味を持った「沢蟹」は、飼っているのではなく食材で、2日に1度くらい仕入れるのだとか。
「素揚げ・天ぷら」にするらしいので、「食べる?」と聞くと無言で首を振った。
ちょっとショックだったみたい…。

注文は、ジャックは「いか天丼は秋は無い?」と聞いたら、メニューにはなかったのに「作りますよ」と作ってもらう。
サーヤは季節の天ぷら定食、ユフィは海老天定食。
ジャックが「刺身が食べたい」と言うので「一人前」頼むと、3つ刺身用小皿が出た。

この刺身が小ぶりながら「六点盛り」で楽しい。
中トロ・ズワイ蟹・ゆで海老・ホタテ・生シラス・生クラゲ。
半分はジャックが食べないもので、ユフィがありがたく頂いたから、小皿が3つは正解。
でも、生クラゲは珍しいし、六点盛りも珍しいと思う。

冷えたビールが美味しいし、お酒もぐい飲みになみなみと注いでもらってジャック大満足。
いか天丼は、春と時期が違うので、ホタルいかはなしで野菜天が入っていた。
ユフィの海老天、野菜の天ぷらも付いて、例によっての2尾ずつの6尾。
三つの歯ごたえと味わいを堪能した。

サーヤの天ぷら定食は、季節の味の生シラスの大葉包み揚げが入って、大根、茄子、さつま芋、キス、シシャモに、マグロの漬けが加わって、籠に満載状態。
ご飯の茶碗も二種類大小あり、好みで選べる。

この間に、店は日本橋から80年前に移って来たこと、現在の若女将の旦那が五代目ということ、大女将と三人で切り盛りしていること、明日の予約がいっぱいということ、日によって客の入りに変化があること、等々ゆっくりとおしゃべりできた。
ともかく、話も酒や食事の大切な「つまみ」。

なにしろ静かなので大満足。
そして、安いのも大満足。定食が1.000円。上もあるが量が多いのか、質が上なのか、今度聞いてみよう。
また、来年の春のお彼岸には行かなくっちゃ、ね。

カウンターで写真は遠慮した。話に花が咲いたし…。


続編はこちら。
 夏目坂で見つけた天ぷら割烹・髙七 その2
▲ページTOP