いつもの夏目坂の高七さんは会席のみの貸切
3月の始めの土曜日、まずはお寺さんに連絡して日時決定。
次の手はずは、お寺参りの度に昼食をとる天ぷら屋さんの予約だ。
「1ヶ月前では早すぎる」とかで「1週間前に」と言われる。
基本的に日曜日と休日は休業で、春秋の彼岸の休日は昼だけ営業のお店。
「土曜日の昼は、法事の予約が多いので」とのこと。
1週間前に予約を入れて少し安心する、って七回忌が大事か、昼食が大事か、分からないいつもの我が家の面々。
一周忌と三回忌は、きちんと親族を呼んで行ったが、七回忌には年寄りも多いことだし、お集まりいただくのも…。
そんなこんなの中で、同じ世田谷に住む仲の良い従姉が急死、年賀状が届かない、訃報も無いけれど「もしかしたら…」の親族も居たりして、家族3人だけで静かに七回忌をすることにする。
と言うわけで、家族3人だけで法要を営み、いつもの天麩羅屋さんで法事。
淋しいけれど気は楽だし、彼岸の墓参り時には定食や一品料理を頼んでいたから、実はメニューの会席コースに興味があった。
時々ご近所の人達の宴会で、会席メニューを側から見ていたから、七回忌には「食べよう」と決めていたのだ。
予約の時に「コースは4つ、4000円から7000円」と聞き、品数の少ないだろう4000円で頼んでいた。
「懐石料理」と「会席料理」の違いが分からず、ネットリサーチする。
「懐石料理」は、茶の席で出す一時の空腹しのぎ程度の軽い料理、客人をもてなす料理のことで、正式には「茶懐石」と言うらしい。
「会席料理」は一汁三菜が基本で、元々は連歌や俳諧の席のことを指して会席と呼んだらしく、その後での酒を楽しむために出た酒肴のこと。
「吸い物・刺身・焼き物・煮物」を基本に、酒肴が加えられ、最後に「飯・味噌汁・香の物・水菓子」が出される。
日本料理では、「儀式用の本膳に続く正統な料理形式」なのだそうだ。
少し早めに法要が終わったので、ぶらぶらと近所を花を求めて歩き、寒桜などを観る。
少し早いが店に行くと、『本日法事で貸切』の張り紙が…。
1週間前の予約の意味に納得した。
法事が何軒か重なったら、いつものランチタイム営業は無理だものね。
大勢の法事の会席の用意された席の横に、一席だけつつましく整えられた予約席。
他にはカウンター席に、御馴染みらしい夫婦が居るだけの静かな店内。
母の写真額を飾って、ピールのコップを供え、とても静かに食事を開始、お隣の席は時間が遅い予約らしくのんびりする。
まずは「トマトの前菜・刺身の盛り合わせ・煮物」の三品。
ほぐした蟹の身を乗せたトマトが爽やかでサッパリ。
刺身は鮪・小帆立・赤貝とこじんまり、煮物は根菜で薄味だけどしっかりした味付け。
まずはビールで母とユフィとジャックは始め、サーヤはお店の果実酒の中から梅酒のソーダ割りをチョイス。
根菜が苦手のジャックの鉢は、母の写真の前に供えた。
続いて焼き物の「牡蠣のグラタン」が殻ごと出るが、苦手のサーヤが食べてみて「美味しい」と嬉しそう。
季節の味わいとして「空豆と筍の焼き物」が続いて、小さな筍に驚き、その味に感激し…。
ジャックの日本酒がすすむ、とても新鮮な酒の肴だ。
茶碗蒸しも、家庭では味わえない卵豆腐風で嬉しい。
そして、「天麩羅の盛り合わせ」は、海老・いか・ししゃも・南瓜と定番の味だが、量は少なめでご飯と味噌汁が付く。
締めの水菓子は「大粒の苺とお多福豆」の盛り合わせ。
「先に苺をどうぞ、豆が甘いので」と一言添えてくれたが、デザートにお多福豆って珍しい。
この店では、昔からずっとお多福豆なのだそうだ。
ここで、「コースの差について」サーヤから質問が出た。
「品数は同じで、内容がアップする」らしい。
例えば「刺身の鮪がトロに」「天麩羅の海老が脱皮後のものに」少しずつランクアップするとのこと。
4000円で充分だったけど、今度会席を頼むときは、秋の季節で次のランクで味わいたいよね。
物凄く充実した法事会席で、心もお腹も満たされました。 |