ユフィの記事
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「くずもち」 葛餅と久寿餅は全くの別物
歌舞伎座のお土産は「くずもち」
歌舞伎座のお土産屋でのこと、「このくずもちは本物の葛?」とユフィが念を押して店員に聞いた。
「はい、100パーセント本葛です」との返事。
意味がまったく分らずに、ともかくお金の用意をするサーヤ。
家族が揃ったときにお茶菓子にする予定で、4月までの賞味期限を確認した。
何日か経って、サーヤが「本葛って何?」「本葛ではないくずもちもあるの?」と聞いてきた。
「多分、今まで食べていたくずもちは、久しい寿と書くもので、葛ではなく小麦粉が原料だと思うよ」
多分にうろ覚えなのだが、東京のくずもちと関西のくずもちは、全くの別物だと認識はしていたのだ。
サーヤ「そう言えば、雛あられも東京と関西では別物だったよね」
東京では、米から作った爆ぜ菓子で甘く、関西では、餅から作られるあられせんべいで甘くない。
「ひなあられ」の味も原料も違うのだから(米ともち米)、「くずもち」も違うということに、
サーヤは妙に納得
した。
お雛様の男女の飾り方も、内裏様に向かって関西では左側に、関東では右側に、と全く逆になっている。
関西・京都は、千二百年続く天皇のいらした都のあったところ、古いしきたりや伝統が根付いている。
明治時代から天皇が移られた新しい都・東京都は、古い時代を脱ぎ捨てて新体制になったから、両陛下の並び方も西洋式に左右入れ替えての新方式。
美智子皇后は、常に天皇陛下の向かって右側、天皇陛下の左・少し後ろにいらっしゃる。
「じゃあ、くずもちも関西のほうが正しいの?」
「正しいかどうかは分らないけれど、古いのは確かだから…」
ジャックとユフィは、スーパー情報誌の取材で、『吉野葛』の取材に出かけたことがあるから、
知識としては知っていた訳
だ。
リサーチの結果は、
『葛餅は葛粉から作られる和菓子』『久寿餅は小麦粉を発酵したもの』
と出ている。
久寿餅は主に関東地方で作られていて、沖縄地方のくず餅は「芋くず」と呼ばれるサツマイモ澱粉から作るらしい。
関西の葛餅は、透明から半透明のぷるんとした独特の食感があり、餡を包んだ葛饅頭は水饅頭とも呼ばれている夏の菓子。
関東の久寿餅は、小麦粉澱粉を発酵させて作るので、独特の風味があり、神社やお寺の名物になっているものが多い。
食べ方は関西・関東ともに、
黒蜜ときな粉をまぶす
ため、混同されることが多いようだが、全くの別物。
ジャックとサーヤのお休みが重なった日曜日の「おやつの時間」に、くずもちが登場。
箱を開けて準備を整えたとき、「本物の葛餅だ」と納得したのは透明だったから…。
しかも、切り分けるのに切りにくいほど抵抗感があったらしく、「すごく切り難かった」とサーヤ。
金属製の楊枝で切り分けたいのに、すごく切り難かったので『本葛ってすごい』と感心したくらい。
食べ応えのあるプルプルの食感は、久寿餅の「切りやすい・食べやすい・風味がある」とはまったく違う。
価格もまったく違うのだから、別物としての味わいを楽しむことにする。
サーヤ「葛きりとの食感の違いは?」と聞いてくるのだが、葛きりだって2~3回しか食べたことが無いし、覚えてもいない。
葛は産出量がとても少ない貴重品だから、一般に「葛粉」として流通しているものは、ジャガイモ澱粉などを原料にしているので、『葛きり』と言っても本葛とは限らないのだ。
ちなみに「本葛」は身体を温め血行を良くする効果があり、ジャガイモ澱粉は身体を冷やす作用があるとのこと。
夏場に喫茶などで出している「葛きり」は、ジャガイモ澱粉のものなのかも知れない。
見分け方は、高価かどうかで分るはず…。
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